柏レイソルも「たたかない育児」を発信 子ども虐待防止へ講座開催

(2018年11月20日付 東京新聞朝刊)

 11月は児童虐待防止推進月間。国やNPOなどが虐待へとつながる子どもへの体罰や暴言をなくそうと取り組む中、サッカーJリーグの柏レイソルは14、17の2日間、「たたかない、怒鳴らない子育て講座」を千葉県柏市のスタジアムで開いた。子育て中の親ら計約50人が参加した。 

柏レイソルのスタジアムで開かれた「たたかない、怒鳴らない子育て講座」で学ぶ参加者ら=千葉県柏市で

「♯サッカーも子育てもフェアプレー」

 柏レイソルは2012年から、世界で子ども支援を行う非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン」の活動に賛同。子育て講座などを共同で主催してきた。「サッカークラブは子どもがいないと成り立たない。子どもが育つ環境をより良くしたい」と、日立柏レイソル事業本部の河原正明さんが理由を話す。同クラブには小学生から高校生までが所属するサッカー選手の育成組織もあり、「クラブ全体で『子どもは大事』と発信したい」という。

 3年前から虐待予防のための「ポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)」プログラムの普及にも関わる。ファンや一般参加者、指導者向けの講座を6回開催したほか、今年9月には「#サッカーも子育てもフェアプレー」をスローガンに、たたかない、怒鳴らない子育て推進のチャリティーマッチも実施した。

会場に設置された柏レイソルの鎌田次郎選手(左)、中村航輔選手(右)の等身大パネル

前向きなしつけのプログラムを学ぶ

 14日の講座では、本来は18時間のプログラム内容の一部を2時間で紹介。「セーブ・ザ・チルドレン」の講師が体罰などを用いるべきではない理由を「子どもへの負の影響が大きい」などと説明、近年の研究で、体罰や暴言が子どもの脳を傷付け、学習への意欲を低下させたり、大人になってから精神疾患を引き起こしたりする可能性があると分かってきたことを話した。

 参加者は、たたいたり怒鳴ったりせずに子どもと向き合う、前向きなしつけのプログラムを体験。「子どもが20歳になった時にどんな人に育ってほしいか」といった長期的な目標を決め、そのために子どもにどう「温かさ(安心、安全)」と「枠組み(情報)」を提供するかを考えた。「2歳の子が雨なのにコートを着るのを嫌がる」という状況を例に、年齢に応じた発達状況を理解し、課題解決の方法を学んだ。

子どもを尊重し、子どもの視点で

 参加した、小学生の子ども2人を育てる茨城県の会社員男性(41)は「普段怒鳴りがちだが、自立して思いやりがある人に育てたいという長期的な目標を大事にしていきたい」と話した。

 講座を担当した瀬角(せすみ)南さんは「しつけとは教えること。子どもを1人の人間として尊重し、子どもの視点で考えることが大切」と語った。

 ◇セーブ・ザ・チルドレンが児童臨床心理学者らと開発した「ポジティブ・ディシプリン」について詳しく知りたい方はこちら

「体罰によらない子育て」とは 

 2016年の児童福祉法改正時の付帯決議に「啓発すること」と明記された。これをふまえ、厚生労働省は子どもに向きあうポイントと、体罰や暴言による悪影響などをまとめたリーフレット「愛の鞭(ムチ)ゼロ作戦」を作成。日本を除く54カ国が子どもへの体罰を法律で禁じている。

<特集「ストップ 子ども虐待 わたしたちにできること」トップはこちら