流山の子育て世代が「テイクアウトマップ」アプリ コロナでピンチの飲食店のため 昼食に悩むテレワーク家庭も重宝
代表の白沢さん、TX開業を機に都内から転入
流山市は2005年のTX開業を契機に新住民が増えた。人口が20万人に迫り、増加率は7年連続で千葉県内トップ。白沢美幸さん(38)も、よりよい子育て環境を求め、10年に東京都内から移り住んだ。
しかし、現在は新型コロナの影響が直撃している。3月下旬に入ると、市内の飲食店では宴会などの予約キャンセルが相次ぎ「店を開けても客が来ない」と、店主らの嘆きは大きかった。白沢さんも知人たちとの食事会を見送った。営業をやめる店もちらほら現れた。シャッターが下りたままの店が増え、「子どもたちが歩くまちがなくなってしまう」と心配した。
店の苦境と、「昼食は…」テレワークの悩みと
「始めよう」。地域の課題に向き合っている子育て中のお母さんらに呼び掛け、7人でプロジェクトをスタートさせた。これまで、空き状況や通園ルートを知らせる保育園マップ、昨年の台風15、19号の襲来時には避難所の開設情報を落とし込んだハザードマップなどを手掛けてきた。
子どもの休校や夫のテレワークで「誰かご飯を作って!」という共働きの悩みも背中を押した。アプリケーションソフトを手直しして使いやすくし、メニューや店舗の地図、営業時間などに店からのひと言を加えて、まずは顔見知りの3軒でスタートした。
自薦他薦で掲載130店超「店側にも思いが届く」
4月初めに公開すると、掲載希望の飲食店や行きつけの店を推薦する市民らが続々投稿、そんな市民の取り組みに市や商工会議所も乗った。テークアウトを始めた老舗料亭や居酒屋など掲載店舗数は130を超した。ダイニングバーを営む山崎和希さん(44)は「効果は間違いない。市民の思いは店側にもしっかり伝わっている」と感謝する。従来のランチの売り上げをテークアウトが上回ったという。
転入した30~40代の子育て世代と、旧市街地に暮らす住民との交流が進む副産物もあった。「みんなが一丸となって協力してくれる」と白沢さん。「アクションを起こせば自分がハッピーになって、地域もちょっとだけ良くなる。そんな新しい流れが起こるきっかけに」と願う。
白沢美幸(しらさわ・みゆき)
1981年、千葉県柏市出身。共に地域をつくる市民グループ「CODE for NAGAREYAMA」代表。オンラインで探求学習支援なども行っている。1男1女の母。マップは「流山テイクアウトマップ」で検索を。