公立小教員の残業代訴訟、東京高裁が控訴棄却 テストの丸つけ、授業準備、欠席児童への連絡は「仕事」と認めず
榎本哲也 (2022年8月26日付 東京新聞朝刊)
埼玉県内の市立小学校で月平均60時間以上の時間外労働をしたのに残業代を支払わないのは違法だとして、男性教諭(63)が県に242万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(矢尾渉裁判長)は25日、控訴を棄却した。教諭は上告する方針。
「あなたは教師の仕事を選びますか」
教職員給与特別措置法(給特法)は、公立学校の教員には学校行事など4項目以外の時間外労働は命じられないと定めている。
訴訟で教諭は、2017年9月~2018年7月の時間外労働の大半が4項目にあたらないと主張。その分の残業代の支払いを求め、控訴審では、教員の長時間労働は国家賠償法上も違法だと指摘した労働法研究者の意見書を提出していた。
判決後の会見で、教諭は「現場の先生は、世間から『自主的なことだ』と言われ、遅くまで働かされている。テストの丸つけ、授業準備、欠席児童への連絡。これらを仕事と認められずに遅くまで働かされると知ったら、あなたは教師の仕事を選びますか。自分の子どもを教師にしますか。教員が足りない問題は、このようなことがかかわっている」と訴えた。
昨年10月の一審さいたま地裁判決では、裁判長が請求を棄却する主文の言い渡し後、教員の多忙さに言及。給特法は「もはや教育現場の実情に適合していない」と指摘していた。
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