児童手当、2024年度からこう変わる 高校生も支給、所得制限は撤廃、第3子以降は増額 2024年12月から支給へ

山口哲人 (2023年6月3日付 東京新聞朝刊)

 政府は、少子化に歯止めをかけるための「こども未来戦略方針」の素案に、児童手当の拡充を2024年度中に実施することを盛り込みました。何が変わるのか解説します。

全ての子に支給 高校に通わない子は?

 児童手当の拡充案ってどんな内容?

 今は支給対象が中学生までですが高校生まで引き上げます。さらに第3子以降は、高校生まで一律で支給額を月3万円に引き上げます。所得制限もなくし、親の所得額に関係なく全ての子を対象に支給します。

 「高校生」というのは、高校に通っていなければ対象外なの?

 素案では「支給期間は高校卒業まで延長する」と記載していますが、専門学校生や会社員、フリーターなど身分や職業に関係なく、要件を満たせば支給される方向です。日本は高校進学率が高いので、小中高という流れの中で「高校」を使ったのでしょう。

 ちなみに支給期限についてですが、今の法律では「15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童」。つまり中学卒業前までなので、今後は18歳の誕生日を迎えた後、最初の3月31日まで支給される見通しです。

Q 高校に行かずに就職しても、手当をもらえるということ?

 学齢以外に、親が子を「監護」していることや、生計が同一であることが要件になりそうです。子が働いていても、生計が同じで親が子の生活の面倒を見ていれば、支給要件を満たすでしょう。一方、子が一人暮らしするなど生計も独立していれば、支給対象外になる見込みです。

Q 拡充分はいつから支給されますか?

 岸田文雄首相の発言によると、2024年12月の予定です。現在の児童手当は2月、6月、10月の年3回、それぞれ前月までの4カ月分が支給されていますが、首相は支給回数を年6回に増やす方針です。拡充自体は2024年10月に始まり、10月と11月の2カ月分が12月に支給される見込みとなっています。

 政府は当初、2025年2月から支給開始する方針でしたが、「遅い」との批判を受けて2カ月前倒ししました。

3人以上なら、いつまで「第1子」に?

Q 第3子以降の支給額が高い理由は?

 日本は子が3人以上いる家庭が減少しています。経済的理由で出産を諦めるという声も多く、手厚くすることで3人目以降の出産を後押しする狙いがあります。ただ、3万円では不十分との意見は自民党内からも出ています。

 また、今の運用のまま実施すれば、長子が大学1年に相当する「19歳の学齢」に達すると「第1子」から外れ、2番目が「第1子」、3番目が「第2子」の扱いになります。実際は3人の子がいたとしても、3万円支給の対象となる期間は限定されてしまう例が多いとみられます。

【11月17日追記】政府は2024年度からの児童手当拡充について、対象を広げる方針を固めました。これまで子どもが3人以上いる場合、1人目の子が高校を卒業すると「第3子」が「第2子」に繰り上げて見なされ、3人目の子どもが加算を受けられないなどの問題がありました。政府は、1人目の子どもが高校を卒業した後も、大学生に相当する年齢の間は第1子として数える案など複数案を検討しています。関連法案は2024年度の通常国会に出す方針です。

【11月21日追記】「拡充分はいつから支給されますか?」の項目を追加しました。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年6月3日

コメント

  • 正直キツイ 上に2人いるが対象外、3人目の中学生 1人分の四万が二万になるって‥ それは、もう少し考えてもらいたかったな、損した気分
    kytママ 女性 40代 
  • 子供手当の拡充は、素直にありがたく感じています。我が家には4人の子どもがいるので、この支援は本当に助かります。また、今後もっと多くの仲間が増えていってほしいと願っています。 少子化対策としても重
    社会全体に良い影響 男性 40代