〈中倉彰子さんの子育て日記〉59・ちょうどよい距離感
振る舞いもお兄さんっぽく
今月から、私の地元、東京都府中市で「いつつ子ども将棋教室」を始めました。クラスの1つ「のびのび道場」は、実戦や詰め将棋(将棋のパズルのようなもの)がメイン。わが家の長男で小学1年生のシン(7つ)を含め、年中から小学5年生までの生徒が通っています。
普段は3人きょうだいの末っ子で甘えん坊のシンも、年下の子と指す時は、振る舞いもお兄さんっぽく見えます。年中さんとの対局では、シンが「二歩」(自分の歩がある縦列に歩を指す)という禁じ手をうっかり指してしまいましたが、すぐにそれを認め、対局を続けていいか私に尋ねてきました。
「記録カードには『負け』と書くけど、そのまま練習で続けようか」と2人に言うと、素直に「ハイ」。勝ち負けよりも、禁じ手を指したことを潔く認める様子をみて、ちょっと感心しました。
次に、年上のお兄ちゃんとの対局が終わった後は、お兄ちゃんを笑わせようとふざけていましたが…。お調子者は誰に似たのやら…。
年齢の違う子どもたちでも、同じ土俵で戦えるのが将棋の良いところ。下の学年でも勝てますし、年下に負けることもあります。子どもたちには、日ごろから「負けることは気にしない。反省して次の対局につなげることが大切だよ」と言い続けています。勝ち負け以外の部分で頑張ったところを見つけるなど、負けを嫌がらないような工夫も試行錯誤しています。
モテるには、どうしたらいい?
帰りは暗いので、私は自転車の後ろにシンを乗せ、教室や学校であったことなどを聞きます。「ママ、安全運転で行ってよ」など、シンも言うことが一丁前になってきました。「ママ、モテるには、どうすればいいの?」なんて聞いてくることも(笑)。クラスで気になる子でもできたかな?
保育園の送迎時は、余裕がなくて自転車をこぐだけで精いっぱいだったけど、こうした会話ができると、わが子の成長を感じます。
長女、次女も学年が上がるごとに、どんどん「遠く」へ行ってしまう感じがします。この後、中学校、高校…と進むにつれて、親子の会話をする時間や触れ合いも少なくなっていくのかもしれません。自立を見守りながらも、何かあったときは助けてあげられるちょうどよい距離感を日々模索しています。(プロ棋士)