戦後76年 6年生、高校生も舞台に 朗読劇や歌で被爆を語り継ぐ 8月14日に柏で公演

牧田幸夫 (2021年8月6日付 東京新聞朝刊)
 朗読劇を通して被爆体験の継承に取り組む柏・麦わらぼうしの会の第22回自主公演「この子たちを忘れない2021-1945ヒロシマ・ナガサキ原爆の記憶-」が14日、柏市民文化会館で開かれる。今年は3部構成で、第1部で同市田中小学校児童が朗読劇「夏服の少女たち」を上演、第3部で高校生シンガー・ソングライター柵木(まさき)愛さん(18)=我孫子市在住=が平和への願いを歌に込める。

公演に向け練習する柏・麦わらぼうしの会のメンバー=柏市で

活動26年、母親たちが「語り部」に

 第2部で登場する柏・麦わらぼうしの会は1995年に「戦争や原爆の体験を未来に伝えていこう」と母親らが中心となって活動を始めた。現在の会員は40~70代の女性16人。劇のオリジナル台本は、被爆者が残した手記や詩を元に練り上げた。今年のテーマは「被曝(ひばく)された方々の願いを、今を生きるあなたへ伝えたい」。

 被爆者の高齢化が進み、会は「語り部」の役割も担うようになった。4年前には会員らが近隣に住む被爆者から聞き取った体験談を記録し冊子にまとめた。貴重な証言集は劇の台本に生かされている。

 夏の自主公演ほか、年10回ほど柏市内の小・中学校で上演を続けており、代表の井野口典子さん(65)は「子どもたちに平和を愛する心を育てたい」と話す。今回の田中小の出演も、吉田徳子校長が前任校に勤務していた当時、会が訪問したことがきっかけとなった。

台本の読み合わせをする田中小学校の児童=柏市で

児童「戦争の怖さ伝わるように読む」

 吉田校長と児童が出演する「夏服の少女たち」は原爆で命を落とした少女の日記を題材にした。学校側が6年生を対象に参加者を募ったところ、「夏休みの思い出にしたい」と男女5人が手を挙げた。

 子どもたちは、麦わらぼうしの会の演出担当・正木容子さん(49)らの指導を受け、練習を積んできた。滝沢咲良(さら)さんは「戦争の怖さが伝わるように読みたい」と話し、ナレーションを担当する佐藤壱輝さんは「核の恐ろしさを伝えられたら。かまないように頑張る」。

ステージで歌う柵木さん=2020年11月、佐倉市で(本人提供)

広島訪問を機に曲作り、18歳柵木さん

 高校生シンガーの柵木さんは、中学2年の時に我孫子市の中学生派遣事業で広島を訪問。原爆ドームや平和記念資料館を見学し、「戦争への怒りや悲しみなど、いろんな思いを歌にしたい」と作詞作曲を始めた。当日は、被爆者の女性の話を元に作った「8月6日」などを歌う。

 開演は午後2時。入場には予約が必要。チケットの問い合わせは同会事務局=電話070(1446)7592=で受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年8月6日