小学校プールの水6杯分を作業ミスで出しっぱなし 校長と教諭に95万円を賠償請求した川崎市教委に抗議続々「教員不足が加速する」
止めたつもりが、ブレーカーのせいで…
川崎市教委学事課によると、5月17日午前11時ごろ、稲田小の30代の男性教諭がスイッチを操作して注水を始めたが、ろ過装置も同時に作動させてしまったため、職員室の警報音が鳴った。教諭は警報音を止めるためにブレーカーを落としたが、その際、注水スイッチの電源も喪失した。
同日午後5時ごろ、同じ教諭が水を止めるために注水スイッチを切ったが、ブレーカーが落ちたままでスイッチが機能しなかった。教諭は吐水口を確認せず、注水が続いていたのに気付かなかったという。5日後の22日午後3時、プールで作業しようとした女性用務員の指摘で、注水が続いていることが判明した。稲田小学校のプール開きは6月21日だった。
川崎市教委は、水が5日間流れ続け、プール6杯分が流出したことで、約190万円の損害が生じたと発表。他都市の事例や判例を照会したり、市の顧問弁護士に見解を聞いたりした上で、損害額の5割を2人に請求した。
「民間なら請求されない」 50件超の抗議
川崎市教委によると、「川崎市の元教員」「家族が教員」と名乗る人らから18日昼までに、50件超の抗議が電話や「市長への手紙」などで寄せられた。X(旧ツイッター)でも、教員の過酷な労働環境を訴える「 #教師のバトン 」のハッシュタグを付けるなどして「教員不足が加速する」「もし民間企業でミスして損害を出しても請求されない」といった投稿がなされた。
市教委の担当者は「反響は想定以上」と困惑しつつ「市民の税金で運営する点で民間とは異なる。本来は払わなくていいお金で、全額を税金で賄うなら住民訴訟もあり得る」と話す。「意見は受け止めているが、賠償請求も苦渋の決断だ」と理解を求めた。
◇この問題を受けて、川崎市の福田市長が「請求は妥当」との見解を示しました。
小学校プールの水出しっぱなしで教諭に賠償請求 抗議100件も…川崎市長が見解「かわいそう、教員不足になるというのと責任は別の話」
◇この記事に寄せられたコメントをまとめました。
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