ランドセルでなくてもいいのかも…「リュック型」軽くて快適、価格も3分の1
軽くて体が動きやすい…遠足にも使える
埼玉県本庄市立藤田小学校。下校時刻になり、黄色いリュックを背にした児童たちが校舎から次々に出てきた。児童120人余りの小さな学校だが、ほとんどの児童がこのタイプのかばんを使っている。3年生の女児は「ランドセルを使ったことがないから違いは分からないけど…。使いやすいです」と話していた。
同校が「ランリック」というこの製品を採用したのは40年以上前。岡田正則校長は「地域で、すっかり慣れ親しまれています」と話す。重さは700グラム程度。本革で1400グラム、人工皮革だと1200グラムくらいのランドセルよりずいぶん軽い。
荷物を出せば薄くなるので、ロッカーなどにしまう際に場所を取らないのも利点という。岡田校長は「動きやすく子どもの負担を軽くできる。遠足などにも使っています」と話す。
リュックが主流の地域も…背景に「軽さ」求める声
全国を見渡すと、リュックがメインの地域もある。その一つ、北海道小樽市では市内のかばん店が1970年に発売した「ナップランド」が今も多くの児童に使われている。
「小樽は坂が多く、冬は雪も多いので通学が大変。市内の学校の先生から相談を受け、先代が作ったものです」と、「バッグのムラタ」の村田達哉社長が教えてくれた。当時はランドセルの多くが本革製で、より軽いかばんを求める声から生まれたものだった。
A4の教科書などが入るようにしたり、色の種類を増やしたりと、ランドセル同様、時代に合わせて改良しているが、今も「できるだけ余計なものを付けずにシンプルに軽くが基本」だ。全国からの問い合わせも増えているという。
価格も安い! 文科省は「通学かばんに定めはない」
ランドセル工業会によると、ランドセルが日本で初めて使われたのは1887(明治20)年。今も大多数の児童にとっては、ランドセルが標準だ。最近は人気商品が売り切れる前に入手しようと、早ければ入学の1年近く前から準備する「ラン活」という言葉まで登場し、こだわりを持って選ぶ家庭も多い。ただ、文部科学省によると児童の通学かばんについて「定めはない」。
リュック型が広く使われている京都府宇治市の教育委員会で働く瀬戸俊輔さんは、娘も隣の久御山(くみやま)町で「ランリック」を使う。「娘からは重くてつらいという話は聞かない。私自身は子どものころランドセルだったので最初は驚いたけれど、地域の保護者から『ランドセルでなくては』という声はあまりない。価格が(一般的な)ランドセルの3分の1くらいなのも保護者にはありがたい」と話す。
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