重すぎランドセル「軽くなる」ベルト 母の工夫で商品化、抱っこひもがヒント
背中の隙間をなくし、重さを腰にも分散
儀間さんが考えたのは、ランドセルと子どもの体に巻いて使うナイロン製のベルト。重さで体が後ろに引っ張られるためにできるランドセルと背中の隙間を極力なくして安定させ、肩にのしかかる重さを腰にも分散させる仕組みだ。
「重すぎるランドセル」問題は、教科書の重量化や教材の増加などが原因。子どもの体への負担になっていると、研究者やメディアが発信し、議論が始まったのはここ1年ほどのことだ。医師らの指摘では、適正な重さは体重の15%程度で、小学校の低中学年なら2~3キロ程度になる。
4人の子育て「抱っこひもの進化」体感
儀間さんがこの問題に気付いたのは2015年。現在小学4年の3女が入学した年だった。体を不自然に横に傾けて登校する姿が気になった。「どうしたの?」と聞くと「ランドセルが重くて、首が痛い」と娘。重さを量ると7キロもあった。「大人でも大変な重さで驚いた」。3女は無理な姿勢を取るうちに首に痛みを感じていた。
「何とか負担を軽くしたい」と考え着目したのは、抱っこひも。中学3年から小学2年まで4人の子育てに使ったが、どんどん改良され、抱っこやおんぶが格段に楽になった実感があったからだ。
特許も独学で取得「主婦の意地です」
「ママの負担を軽くしようという商品はあるのに、なぜ子どもたちのつらさは注目されないんだろう」。儀間さんは複数メーカーの抱っこひもを調べ、肩だけでなく腰でも重さを受け止められるように、ランドセルと体を一体化するベルトを試作。16年7月に特許を取得すると自ら売り込み、都内のかばんメーカー「マルヨシ」が製造してくれることになった。昨年からネット販売も開始。同社の担当者は「外部のアイデアを商品化することはほとんどないが、役立つものになると判断した」と話す。
実は儀間さんが特許を取ったのは2回目。子どもの熱中症を防ぐため、保冷剤を背中にぴったり付けた状態で遊べるリュックタイプのケースを考案。特許申請もお金をかけずにできるよう育児の合間に公的機関に通って学んだ。「出産後は育児に専念していましたが、これでいいのかなという気持ちがあった。主婦の意地です」と笑った。
商品名は「まじかるベルト」で、1900円(税別)。問い合わせはマルヨシ=電話0800(800)4486=へ。