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「抱っこカバン」で外出も楽々!シングルマザーが考案しました

西川正志 (2017年9月9日付 東京新聞朝刊)
抱っこひもとカバンを兼ねた便利な商品があります。開発したのは夫を亡くしたシングルマザー。子どもと出かけた動物園での出来事がきっかけです。
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抱っこひもとカバンを一体化した抱っこカバンを手にする大門みづきさん=さいたま市で

 心身ともに負担が大きいシングルマザーの力になりたい-。そんな思いで抱っこひもとカバンを一体化した「抱っこカバン」を開発した女性がいる。さいたま市緑区の大門みづきさん(40)だ。自身も交通事故で夫を亡くしたシングルマザー。夫の協力が得られない育児で感じた不便さを解消しようと1年半かけて商品化した。「孤独になりがちなシングルマザーの支えになれば」と話している。

抱っこひも+カバン おむつ換えシートにも

 大門さんの抱っこカバン「gyuttone!(ぎゅっとね!)」はバッグ両脇のファスナーを開き、収納されたベルトを装着することで抱っこひもになる。装着は簡単で、一般的な抱っこひもと比べても、煩わしさはない。ファスナーを開いた状態であれば、おむつ替えシートにも代用できる。

図解 抱っこカバンの使い方

【抱っこカバンの装着方法】①両脇のファスナーを開く ②収納されたベルトを出す ③ベルトを腰に巻く ④残るベルトを肩からかけ、長さを調整して装着完了

夫を亡くし一人育児 子どもも荷物も一手に 

 大門さんは2014年5月、夫の秀行さん=享年(41)=を事故で失った。長男奏一朗君はまだ生後10カ月。「奈落の底に突き落とされた」。何も手をつけられず、家に引きこもった。

 立ち直れないまま迎え一1周忌。ふさぎ込む自分とは対照的にすくすくと成長した奏一朗君の姿にはっとした。「このままじゃダメだ」。少しずつ外出するようになった。

 その年の夏、奏一朗君と動物園へ行った。遊び疲れて寝た奏一朗君を抱き、大量の荷物が入ったカバンを肩にかけて歩いた。腕はしびれ、カバンが肩に食い込む。大粒の汗が流れた。

 周囲には楽しそうな親子連れがいた。父親が子の手を引き、母親が笑う。「私はずっと子どもも荷物も一人で持たないといけない」。夫を失った現実と今後の不安感。あふれそうになる涙をこらえる一方、「つらい思いをしているシングルマザーは私一人じゃない。もっと便利な抱っこひもがあればいいな」。すぐにアイデアを練り始めた。

 重くてかさばる、外出先で使うかどうかわからないが持っていないと不安-。抱っこひもの不満を解消しようと考えた末、バッグとの一体化に行き着いた。

試作繰り返し商品化「シングルマザーの心の支えに」

 安全性やデザインなどを追求、試作を繰り返した。小規模事業者などの経営相談を受ける国が運営主体の「埼玉県よろず支援拠点」の助言も受け、事業化を模索。今年3月に商品が完成し、2カ月後には自身の会社「kanadel(カナデル)」を設立した。

 「シングルマザーが孤独を感じた時、『この抱っこカバンは同じシングルマザーが作ったんだ』って思ってもらえれば、少しは孤独を和らげられるはず」と大門さん。「これからも心の支えになるような商品を開発していきたい」と話している。

 抱っこカバンは1個1万9800円。問い合わせはカナデルへ。Eメールはこちらから。