吉良佳子参院議員 「保育園落ちたの私だ」に寄せられた共感とバッシング 〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉第7回
正直、驚きました。2015年に、自分が妊娠したと知った瞬間の話です。
もちろん、結婚した以上、子どもを育てたいという思いはありましたし、うれしかったのも間違いありません。しかし、妊娠したことに気づいたのは、通常国会の予算審議が目の前のタイミング。安保法制や労働者派遣法など重要法案も目白押しの国会をどう乗り越えられるか、目の前にある自分の仕事への不安がかなり大きかったのです。
実際、この年、通常国会は大荒れ。9月まで大幅に会期延長され、私も8月の厚生労働委員会で派遣法の論戦にも立ちました。そして、8月の質問の直後に切迫早産と診断され、出産まで、長期入院を余儀なくされました。
〈前回はこちら〉朝日健太郎参院議員 ビーチバレーの国際大会を「棄権」した理由とは…
入院している最中に、安保法制が強行採決。私が国会に出席していないと知った一部の有権者からは「子どもを産ませるために国会に送ったのではない」などという心ないメールも届き、傷つきました。とは言え、そういう否定的な声は少数で「今のあなたの仕事は、命を無事に産み出し、まもることだから」と励まし、支えてくれる声もたくさんありました。そういう声が救いでしたし、いまも感謝しています。
出産後も復帰の条件を整えるのは大変でした。当時、公立認可保育園に申請しましたが、落選。「保育園落ちたの私だ」とツイートすると、共感の声とともに、ここでも「国会議員が保育園に申し込むから待機児童がなくならないんだ」などのバッシングもありました。
国会議員であろうと、一般の労働者や個人事業主、どんな働き方であろうと、働いている親が、働き続けるために保育園を利用することは当然です。それなのに、申し込んでも入れない状態、質の高い保育園の数が圧倒的に足りないことこそが問題です。
結局、国会も含めたいまの日本社会全体が、女性が妊娠・出産し、子育てしながら働くことが大変な困難である現実を、私自身の妊娠出産体験で強くつきつけられました。
そしていま、4歳になった息子の子育ては、多くの人に助けてもらっています。子どもの通う保育園の保育士さん、シッターをお願いしている近所の元保育士さん、定期的に上京してくれている私の母、保育園の送り迎えはもちろん、ありとあらゆる場面で役割を果たしている夫。パンツトレーニングは、保育士さんが一緒にやってくれたからできたようなもの。たくさんの人に頼る。これが私の仕事と子育ての両立の秘けつです。
それにしても、子育てって一人ではできない、社会みんなでやることだとつくづく感じます。だから、「ワンオペ育児」「孤育て」など、一人で悩み苦しんでいるお母さんたちによりそえる政治・社会を実現したいと心から思っています。
子どもとの時間をつくることは、私の課題です。いまのところ、絵本を読むのが一番うまいのは「お母ちゃん」と言ってくれている息子。かこさとしさんの『どろぼうがっこう』、古田足日さんの『おしいれのぼうけん』、中川李枝子さんの『いやいやえん』など、私も幼いときに母に読んでもらった本も読んでいます。最近は、息子の好きなキャラクターを使って、子どもと一緒に簡単な創作もしています。疲れたとき「お母ちゃん、大好きよ」と、私をだきしめてくれる小さな手が大好きです。
最後に、片山大介参院議員への質問です。NHK記者時代にお子さんが生まれたと聞いていますが、その当時、どうやって子育てに参加されていましたか。現在も含め、子どもたちとの時間はどのように過ごされていますか。お父さんならではの子どもとの接し方について、語っていただければ幸いです。
吉良佳子(きら・よしこ)
東京選挙区、2期、共産党。1982年9月14日生まれ。2005年早稲田大第一文学部卒業後、東京都内の印刷会社で勤務。2009年東京都議会議員選挙に豊島区から立候補。2013年の参議院議員選挙で初当選。現在は文教科学委員、予算委員、憲法審査会委員。
(構成・坂田奈央)