〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉第4回 蓮舫参院議員 双子のために作り続けた、中学3年間のお弁当

本音で話しちゃう!のタイトルカット

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 女性国会議員が育児。
 女性政治部記者と育児。
 ずいぶん長い間、政界に身を置く女性と育児の両立は成立しないと見られていました。

 25年前、民放ニュース番組のキャスターとして国会を取材していた時は、大物議員にマイクを向けても無視され、男性記者に優先的に答えられました。少子化について質問しようものなら「女子どもの問題でしょ」と切り捨てられました。たまに、時の人でもある政治家への取材が実現しようものなら「女はいいな」と言われたこともありました。


<前回はこちら>加藤鮎子衆院議員 間もなく出産! 産休中も採決に参加したい!けれど…


 女性議員を想定していないのか、国会の本会議フロアに女性トイレはなく事務方の部屋が集中するフロアに職員と共用で設置。その後、女性議員が多く当選すると「マドンナブーム」と言われ、私が初当選した時は育児中の議員は「ママ議員」として子どもがいることが特に注目として扱われ、人気ある総理の下で当選した女性議員は個人に着目ではなく「刺客」「チルドレン」の代表として取材される有様でした。

 参議院議員の蓮舫です。加藤鮎子議員からバトンを受け取りました。加藤さん、無事2人目のお子さんを出産されたとのこと、おめでとうございます。

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 さて。このコラムを執筆する超党派の国会議員の仲間と国会でママパパ議員連盟を作っています。議連に参加するメンバーの大半がママであり、パパ。まだ小さいお子さんを育てている最中なので「災害時に避難所に液体ミルクを」「国会内または周辺への保育の場の設置を」「フリーランスや女性経営者など育休保障されていない女性に関して」「義務教育の課題」などリアルなテーマ設定と本音で解決策の議論をしています。私たちの活動を取材する女性記者も多く、彼女たちから課題の提案をもらうこともあります。

 25年前と比べ景色は大きく変わりました。女性であるからこそ、ママであるからこその発信をためらうことのない職場になってきています。もちろん、深夜国会になった時に「育児」を理由に帰宅を主張するとか、育休を公言することへのためらいは今なお残っていますが、超党派だからこそ、こうした課題を各党に提言し変えていけると確信もしています。

 双子が7歳の時に私は参議院議員として歩みだしました。小学校1年生でクラスは別。娘と息子が直面する問題は友人関係や勉強面、クラブ活動にママパパたちとの付き合いとそれぞれ違うし、保護者参観や運動会での役割も手を抜けない環境の中で、国会での質問や部門会議に勉強会、地元活動や仲間の応援のための地方出張と両立。気がつけば双子は22歳。私も議員として15年目になりました。

 この間、両立を可能としたのは、育児も仕事も「自分でしかできないこと」と「他者に頼めること」を明確にしてきたことです。インフルエンザで高熱が出ている双子の側で看病したいけれど、パパがいてくれる時は自分しかできない予算委員会の質問を徹夜で作成する。運動会にどうしても出る時には仲間の応援を断る勇気を持つ。休みが取れた日には部屋の掃除や洗濯の手抜きをして双子と思いっきり遊ぶ。

 ただ、1点だけこだわったのは双子の中学3年間のお弁当は全て私が作ることでした。帰宅時に「お帰りなさい」と言えないことも多く、夜ご飯を一緒に取れないことも日常で、高校生になったら自分たちで友達と好きなご飯を食べに行くんだろうと思っていたので、せめて中学3年間のランチに責任を持ちたいという私のこだわりでした。朝5時に起き、好みの違う2人にあった卵料理や肉料理を別々に作ったお弁当。忘れません。3年目最後のお弁当、娘は好物のカツ丼、息子は好物の手巻き寿司でした。

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 今、大きくなった娘が「ママのお弁当食べたい」と言う時、息子が今でもお弁当を作ると「美味しかった」と食べてくれる時、涙が出ます。こだわって良かった、と。

 パートナーに、親に、友達に、ママ友に。頼める人全てに甘え、仕事も選択と集中をすることで私の育児と仕事の両立が成立してきました。みんなに感謝。

 加藤鮎子さん。一人っ子でも双子でも兄弟でも。育児は驚きと喜びと反省がつきものです。秘訣や魔法はない。でも、たった1つでいいから「こだわり」を持って、それだけは守るようにしてみてください。ママのこだわりは子どもには必ず伝わります。無理せず頑張って!

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 さてさて。4人のお子様を育てる里見隆治参院議員。聞くところによれば、転勤が多かったことから4人のお子様はそれぞれ違う場所で生まれたとか。里見さんならではの奥様への配慮、両立の鍵をぜひ育児真っ只中のパパたちに伝わるように教えてください。バトンを渡します。

蓮舫(れんほう)

参議院東京都選挙区、3期。立憲民主党副代表。1967年東京都生まれ。青山学院大学法学部卒業後、報道キャスター等を経て、2004年参議院選挙でマニフェストならぬ「ママフェスト」を掲げ、初当選。内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)等を歴任。当選以来、子育て支援策、少子化対策、行財政改革をライフワークに取り組む。

(担当・坂田奈央)

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