子どもの探求心を高めるには? 都と東大大学院がプログラム開発中 カギは「大人がゴールを決めないこと」
浅野有紀 (2024年2月3日付 東京新聞朝刊)
幼稚園や保育園児の育ちを支えようと、東京都は東京大大学院の幼児教育の研究機関「CEDEP(セデップ)」と連携して、子どもの探求心を高めるプログラムの開発を進めている。江東区の塩崎保育園では1月30日、園の5歳児がお気に入りの絵本を題材にして自由に絵を描く表現活動に取り組んだ。
保育士が感激「想像を超えてくる」
題材にした絵本は「エルマーとりゅう」。5、6人ずつ2グループに分かれ、物語では描かれていないりゅうの世界を想像しながら、絵の具で模造紙に表現。「黄緑色ってどう作るの?」「見て! 森ができたよ」と声を上げ、手や足に絵の具を塗るなどして大胆に描いた。ブロックを持ち出して、りゅうの形に見立てたり、家やお風呂を作る子もいた。
園児と一緒に作業に取り組んだ保育士は「子どもたちの創作は毎回想像を超えてくる。『やりたい』を実現できる環境を準備したい」と笑顔を見せた。CEDEPの研究員で画家のひぐちけえこさんは「大人がゴールを決めて導いていくのが今までの教育。これからは、大人も一緒に『森』の中に入っていき、子どもたちの内側から湧き上がるものを実現していってほしい」と期待を込めた。
東京都は2023年度、3区1市の14園で、「乳幼児『子育ち』応援プログラム推進事業」を試行している。予測できない未来を生きるため、学力以外の自信や好奇心といった「非認知能力」を伸ばすのが狙いだ。取り組んだ事例は、3月にも「とうきょう すくわくプログラム」としてまとめ、来年度には、私立を含む都内にある約5500の全ての幼稚園、保育園で役立ててもらうという。