発達障害の子どもが楽しくサッカー観戦 川崎フロンターレが特別席を用意 保護者も安心「ここなら理解がある」
渡部穣 (2022年8月12日付 東京新聞朝刊)
発達障害があって外出が困難な子どもたちに観戦を楽しんでもらおうと、サッカーJ1の川崎フロンターレは10日夜、川崎市中原区の等々力陸上競技場で行われたホームゲームに特別観覧席を用意したイベントを実施した。川崎市内在住で自閉症など発達障害のある小学生以下の子どもたちとその保護者ら15組41人が参加し、ゲームの雰囲気を楽しんだ。
ピッチ登場の選手に「近くですごい」
イベントは「えがお共創プロジェクト」。2019年に始まった企画だが、昨年と一昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、アウェーゲームをテレビ映像で楽しむPV観戦にとどめ、生観戦は3年ぶりとなった。
人混みを避けるため、普段はVIP専用の競技場6階のテラスシートを破格の値段で開放。試合開始前には希望する家族をグラウンドレベルに招き、ピッチに登場する選手を間近で出迎えた。子どもたちからは「こんなに近くですごい」と喜びの声が上がった。
障害に理解と配慮がある家族同士なら
試合は2-2と引き分けたが、小学6年の野村風磨さん(11)は「楽しい。ゴールが決まって、サッカー選手ってすごいと思った」と笑顔。一緒に参加した父の知之さん(47)も「発達障害に理解と配慮がある家族同士だと、落ち着いて観戦できる」と喜んでいた。
自閉症があって新しいところに出かけるのが困難という珠樹さん(6つ)と参加した小尾晴香さん(39)も「子どもが声を上げたりウロウロしたとしても、ここなら理解があるから安心」と話した。
フロンターレ・プロモーション担当の田代楽さんは「誰もがサッカーを見られる環境をつくることが目的。これからもできるだけ多くの人たちと一緒に楽しめるようにしていきたい」と話していた。