さいたま水族館で「クワイエットアワー」 感覚過敏の子どもに配慮して音声なし、照明も調整

寺本康弘 (2022年6月15日付 東京新聞朝刊)
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感覚過敏の子ども向けに配慮された館内を楽しむ子どもたち(カメラの感度を上げて撮影しているため実際より明るく写っています)=埼玉県羽生市のさいたま水族館で

 強い光や大きな音が苦手な感覚過敏の子どもたちも安心して楽しめるよう、展示環境を配慮した見学会が13日、埼玉県羽生市のさいたま水族館で開かれた。「クワイエットアワー(静かな時間)」と呼ばれる取り組みで、埼玉県が企画。利用者からは歓迎の声が聞かれた。

「すごい。魚がいた」「おっきいね」

 この日は休館日で、一般来場者はいない。同館は、いつも流しているBGMや館内放送、展示説明の音声を切り、スポットライトも来場者に直接当たらないよう調整した上で、さいたま市内の児童発達支援センター「きらめき園」に通う年中と年長の13人とスタッフ14人を迎えた。

 入館前にはぐずっていた子どももいたが、中に入るとみんな落ち着いた様子。夢中で水槽の中をのぞいて「すごい。魚がいた」「おっきいね」などと大喜びした。

 クワイエットアワーは英国で2017年に始まった取り組み。視覚や聴覚などの感覚過敏で外出にストレスを感じる人のため、日時を限定して施設の館内放送を止めたり、照明を通常より暗くするなどの配慮をする。国内では愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園や、昨年10月にさいたま市の埼玉スタジアム2002で行われたサッカー日本代表戦で導入した事例があるが、埼玉県が実施するのは今回が初めて。

作業療法士が研修 パニックも想定

 実施に当たり、さいたま水族館は埼玉県発達障害総合支援センターの作業療法士から研修を受け、準備した。予定が分からないと不安になる子どもの特質に合わせ、館内の展示配置と見学順を分かりやすく示した地図を作り、事前にきらめき園に渡した。見学途中でパニックを起こした場合に1人になれるスペースも用意して臨んだ。

 きらめき園の児童発達支援管理責任者、桜井淳子さんは「子どもたちが思った以上に落ち着いていて、すごく居心地がよさそうだった。すてきな企画でよかった」と感激していた。

 埼玉県は今回の取り組みを検証し、他の県有施設にも広げていく考えだ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年6月15日

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