インクルーシブ公園 埼玉・三郷市で整備計画 各地で進む導入 

大沢令、近藤統義 (2022年5月13日付 東京新聞朝刊)
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車いす利用者も楽しめる、滑り台とジャングルジムの複合遊具=イメージ(三郷市提供)

 障害がある子もない子も一緒に遊べる「インクルーシブ公園」が、埼玉県三郷市内で計画されている。市内の障害児施設の関係者からは、どの子も隔てなく安全に遊べる公園を心待ちにする声が上がっているといい、本年度中の完成を目指す。

車いす利用者も滑り台で楽しめる

 インクルーシブは英語で「包み込む」「包括的」といった意味がある。インクルーシブ公園は障害の有無にかかわらず、あらゆる子どもが家族や友だちなどと安全に、安心して遊ぶことができるよう設計、整備された公園。2020年に東京都立砧(きぬた)公園(世田谷区)に整備されて注目され、各地で導入の動きがある。

 三郷市では「インター南中央公園」(同市インター南2)の一部約1500平方メートルに整備され、約5種類の遊具が検討されている。

 車いす利用者も楽しめる滑り台とジャングルジムの複合遊具のほか、安全バー付きのチェア型や寝転がったままでも楽しめる皿型のブランコ、車いすのまま遊べる砂場などを設ける予定。市が本年度予算に遊具購入費など4000万円を計上し、実施設計と工事を行う。

 市は昨年4月の「緑の基本計画」策定をきっかけに、市公園運営委員会の委員長として計画策定に関わった跡見学園女子大の赤松瑞枝准教授(福祉住環境)と、インクルーシブ公園の整備について共同研究してきた。

今後は運営する仕組みづくり協議

 赤松ゼミの学生も8月から公園見学などの実習を経て、車いす利用者も遊べる遊具の種類や広場を囲むフェンス、休憩できるベンチの設置などを提案した。市はこれを受けて案を作り、障害児施設の関係者にもヒアリング。「どの子も安全に遊べる公園になれば素晴らしい」「障害がある子の親が周囲から向けられる視線に傷つくような経験が少しでもなくなれば」と期待する声が寄せられたという。

 市は遊具の安全な使い方を周知するなど、公園運営の仕組みについて障害児施設の関係者などと協議していく。

 赤松准教授は「ハード面の整備とともに、利用する親子や教育・福祉の専門家、公園の近隣住民などが運営に積極的にかかわれる仕組みづくりも必要だ」と話している。(大沢令)

秩父にも完成 ロープや接触防止のパネルも

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秩父ミューズパークに設置されたインクルーシブ遊具。車いすで上れるスロープがついている=秩父市で(埼玉県提供)

 豊かな自然が人気の秩父ミューズパーク(秩父市)では、県営公園で初となる「インクルーシブ遊具」が3月末にお目見えした。パーク内の展望ちびっこ広場にあり、車いすで上れる緩い勾配で幅広のスロープや、車輪との接触事故を防ぐためのパネルがついている。

 各地でインクルーシブの公園や遊具が広がるのを受け、県が遊具の更新時期に合わせて採用した。熊谷スポーツ文化公園(熊谷市)にも、本年度中にインクルーシブ遊具を設置する計画だ。(近藤統義)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月13日

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