自閉症のアーティストが病院内ギャラリーで作品展 休園日に入れる動物園が安らぎの場 三鷹で5月31日まで

佐々木香理 (2022年5月27日付 東京新聞朝刊)
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花島愛弥さんの作品が並ぶ会場=三鷹市で

 自閉症で知的障害のある花島愛弥(あや)さん(21)=愛知県豊橋市=の個展が、東京都三鷹市の杏林大医学部付属病院のギャラリーで開かれている。心の支えとなっている地元の動物園で出会った動物を描いた。迷いのない筆致の作品は「癒やされる」「生命力を感じる」と来場者に好評だ。

豊橋市の「のんほいパーク」日本初のクワイエットアワー

 「クリオネ。大好き」。花島さんはそう言うと、画用紙にサインペンと色鉛筆を走らせた。描き終える度、満足そうに画用紙をトントンとたたく。ルリコンゴウインコ、ペリカン、ホッキョクグマ…。会場には淡い色合いの30点余の動物の絵が並ぶ。どれも豊橋市の「豊橋総合動植物公園」(のんほいパーク)で出会ったお気に入りの動物だ。

 3歳で自閉症と診断された。聴覚が過敏で、日常生活では耳当てを着けている。流ちょうな会話は難しいが、4歳から絵を描き始め、絵日記も続けている。

 愛弥さんにとってのんほいパークは安らぎの場。心のバランスを崩して小学校に通えなくなった際、動物に会うことで回復につながった。のんほいパークでは2020年、泣き声や人混みなどが苦手で来園しにくい障害者らを対象に、休園日に利用できる制度を国内の動物園で初めて導入した。「クワイエットアワー(静かな時間)」と呼ばれる英国などで進む取り組みだ。

 個展は2017、2019年に続いて3回目。今回はクワイエットアワーを利用してパークを訪れ、仕上げた作品も展示している。父親の紀秀さんは「制度を必要としている人は多いはず。全国にも広まってほしい」と期待する。

 杏林大医学部付属病院内の第2病棟ギャラリーアートスペースで31日まで。28日は花島さんが滞在する。29日は休み。入場無料。詳細は花島紀秀さん=電話090(1563)2939=へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月27日

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