こんな思いで「東京すくすく」をやっています 編集チームメンバーからみなさんへ
「知っていれば違ったのに…」の後悔を胸に
「21歳、18歳、14歳の子どもがいます。なるほどそうだったのか、と腑(ふ)に落ちることだらけです。もっと早くこの記事に出会いたかった!」
「ペアレント・トレーニング」の連載第1回のコメント欄に寄せられたこのメッセージは、初めてペアトレの講座を受けた時の私自身の思いそのものです。親にとって困ってしまう子どもの行動を目の前にしたときに、どう対応するか。いえ、まず、どう受け止めるかからのスタートでした。連載開始当時、子どもは4歳(保育園年少児)、7歳(小学2年生)、9歳(同4年生)。私の反応一つで変わっていく子どもの姿を目の当たりにし、心底思いました。「もっと早く知りたかった」
子どもが生まれてからの親は、「それ、もっと早く知りたかった」「知っていれば違ったのに」の繰り返しではないでしょうか。産後クライシスの防ぎ方、泣いてぐずる子どもとの向き合い方、保育園の選び方、PTAとの関わり方…。知っていたら子育てが変わる、ひいては、その人自身の人生が変わるきっかけとなるような記事を発信し、読んでくださる皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。自分自身の「その話、もっと早く知りたかった」が取材の原点です。(生活部・今川綾音)
子どもをめぐる「それ、おかしい!」をどうにかしたい
「ちょっと待って」「それ、おかしくない?」。この1年、子ども関連の取材で、何度そうつぶやいたか分かりません。保育園に園庭がないのに散歩に連れて行ってもらえない園児、忙しくて疲弊する保育士や学校の先生、孤立する産後のママ、居場所のないLGBTの子どもたち…。子育て中の私も人ごとではありません。保育の「質」の低下や、子どもを取り巻く環境の悪化をひしひしと感じ、どうにかしたいと取材してきました。
一方で、現場で頑張る保育士や学校の先生たち、お母さん、お父さんにもたくさん出会い、励まされました。読者の皆さんが寄せてくれたコメントも一つ一つが胸に刺さり、原動力になっています。
私自身が子育てと仕事で余裕のない日々。「たたかない子育て」の記事を書きながら、子どもにきつく当たって自己嫌悪になることも…。いろんな矛盾を抱え、でも楽しく穏やかな子育てを目指して、今後も悩みつつ取材を続けていきたいと思います。(読者部・奥野斐)
子どもがいない身だからこそ
この8月、東京本社の生活部に異動になり、「すくすく」メンバーに加わりました。すくすくメンバーの中ではいわば、末っ子。前任地の名古屋生活部でも、子育て取材の経験はありますが、未婚、子なしの私にとって、子育てはまさに未知の領域。取材の経験値を子どもに置き換えれば、まだヨチヨチ歩きもおぼつかない幼さといえばいいでしょうか。
それでも、子育てをしている親御さんたちを取材していると、子育ての不思議というか奥深さに必ず出合います。取材で出会う人はおしなべて、子育てや子どものことで悩んでいる。でも、こうも言われるんです。「結局、元気もらえるのも子どもからなんです。子どもの笑顔とか寝顔見てると、全部許せるっていうか」
子どもってすごい力だな。子どもがいない身だからこそ、余計に感じるのかもしれません。共働きや、シングルマザー、シングルファーザーも珍しくない時代、子育てを巡る環境はより複雑で、難しくなっていると感じます。その分、情報もあふれている。その中から、皆さんの悩みに応え、子どもたちの笑顔を引き出す情報を一つでも多く発信していきたい。いまはまだ頼りない末っ子ですが、温かく応援してもらえるとありがたいです。(生活部・添田隆典)
正解がほしいときも、息抜きしたいときも
なんでこんなに泣くんだろう、また泣きやまないのかな…そんな不安にばかり襲われていた長女の子育て。共に営業職の夫が早く帰ってくることは期待できない。幸い夫の両親が近くに住んでいたため、困ればすぐにSOS。それでも夜中の急な発熱や嘔吐(おうと)に寝られない日々も多かった。そんな長女ももう8歳。数年前とは比べものにならないほどのしっかり者のお姉さんになりました。今思えば大変さは一時のものだったなと懐かしく思えるけれど、あのときは先が見えないほど必死でした。
乳児期の大変さを救ってくれたのは身近な人や、同僚、先輩。保育園のお友だちやたまたま声をかけてくれた近所の人、電車の中で出会った人。そのひと言が温かく本当にうれしかった。
新聞社で働いている自分が社会に貢献できることは何だろうと問い続けていたところ、同じ志をもつ記者に出会い、東京すくすくの立ち上げから関わってきました。私のように地方出身で、東京での子育てに息苦しさを感じている人がたくさんいることもわかってきました。
数年前、悩んでいた私が偶然新聞で子育てをテーマに描く漫画家・高野優さんの「いつかは笑い話」という言葉と出会い、気持ちが一気に晴れたように…。正解がほしいときも、息抜きしたいときもふと立ち寄れる場所を作りたい。そんな気持ちで東京すくすくの2年目を迎えています。(広告局営業推進部・山中裕子)
お金や性の話をタブーにしない
政治やお金、性にまつわる話をタブー視する風潮がありますが、生きていく上ではどれも非常に大事なこと。思春期の子を育てる記者自身も学びながら、家庭で、学校で、地域で、子どもたちをいかに守り、導くかを考え、発信し続けます。(読者部・小形佳奈)
生活と政治に橋を架けるには
生活に密着した政治の記事を届けたい、という思いですくすくに関わってきました。政治報道は、どの媒体でも、とどのつまり政局(政治家同士の権力争い)が中心ですが、永田町(政治)や霞が関(中央省庁)では生活に密着したこともどんどん決められています。消費税(軽減税率、ポイント還元)、幼児教育無償化、児童虐待対策…。そんな意思決定の場に生活者の声を届けられるよう、ともに歩んでいただけたら幸いです。(元政治部、現サンデー版編集部・安藤美由紀)
ウエーブを起こせるサイトに
国会議員リレーコラム「超党派ママパパ議連 本音で話しちゃう!」を担当しています。2年前、2人目の産休育休を終えて政治部に配属されました。それまで縁遠かった政治の現場で取材を始め、強く感じたのは、子育て世代と政治の距離の遠さ、でした。首相は「少子化は国難だ」といいながら、対策や子育て支援策を決定する現場には当事者がほとんどいません。そもそも女性議員は1~2割しかいません。
あるとき、国会議事堂の中を歩いているとき、2人の幼い女の子を抱えて猛ダッシュする旧知の女性議員と遭遇しました。「大事な会議があるんだけど、子どもを預けられなくって」。泣きそうな表情に、政治の世界で働く女性が少ない理由を目の当たりにしたような気がしました。かわいい姉妹を預かって国会内の食堂で待ちながら、こういう議員の存在が、子育て世代にとって「政治は意外と近い」と思える一つのきっかけになるんじゃないかと思ったのです。
実際にリレーコラムをはじめてみると、ベテラン議員から若手議員まで、なかなか聞く機会のなかった親としての苦悩や考え、それぞれの打開策あるいは子育て政策への思いを知ることができました。私自身も励みになっていますし、読んでくださる皆さまにも、共感なり意見なりしていただける部分が見つかって「もっと声をあげるべきだな」と思うきっかけになれば、と思っています。大事なのは当事者の声ですから! これからも、記事やコラムに声を寄せていただき、その思いを広く共有してウエーブを起こせるようなサイトに育てていただけたらと思います。(政治部・坂田奈央)
東京すくすくはおかげさまで1周年を迎えました。1周年特設ページでは、『子育て日記』執筆者からのメッセージをはじめ、1年間の人気記事ランキング、反響の大きかった「たたかない子育て」記事の関連インタビュー、記者が語る音声コンテンツなどを紹介しています。→こちら