隣にいない妻と「答え合わせ」したいこと〈清水健さんの子育て日記〉49
2月11日 8回目の命日に
お友だちの前で、「パパ」と言いかけて「お父さん」、つないでいた手をソッと離す。その姿に成長を感じたり、寂しさを覚えたり。親って勝手なものですね。4月からは小学3年生です。
先月、2月11日は妻の8回目の命日でした。家族が集まり「いつも」と同じように笑って過ごす。でも、やっぱり特別な日であることは間違いない。多くの方が届けてくれたお花に時々目をやり、妻の話をする。妻のお友だちからは「いつも一緒だよ」というメッセージが添えられていた。いつも一緒。そう、そうなんだけど、隣にはいない現実が今でも悔しい。
でも、この日は毎年、必ずやってきて、これからも、いろんな感情で過ごすんだと思う。飾ってある写真をひとつひとつ、きれいに拭いて眺めながら、息子の成長と家族への感謝を妻に伝える。
今の僕は頑張れているのか?
もっともっと言いたいことはある。僕は寄り添えていたのか。もっとしてほしいことはあったか。「宿題は?」と息子に言っている僕は、ちゃんと父親をできているのか(笑)。妻と「答え合わせ」をしたいことがいっぱいある。そして、聞いたところで頑張るしかないことはわかっている。でも、今の僕は頑張れているのか?とも聞いてみたい。
息子にはママの記憶はないだろう。だからなのか、この日は特別であっても、それほど意識させないようにしている自分がいる。いつもと同じように、静かにふたりで手をあわせる。
もちろん、この日がどんな日かは伝えている。でも、特別に長い時間、手をあわせようなんて言わない。いつか、きっと、わかる日がくる。寂しさと数えきれない悔しさ。
既読にならないLINEを送る
一方で、今、数えきれない幸せも隣にいる息子が教えてくれている。息子の喜ぶ姿が見たい。そのためにできることは?と今度は自分に問いかける。
小学校で「10年後の自分へ」という手紙を書いていた息子。その中の1行に「僕は元気でいていますか(やっていますか)?」とあった。深い意味は特にないんだと思う。でも、その言葉の意味を深く深く知ってほしい。
成長してるよ! 元気でいてるよ! 既読には決してならないけれど、妻へ、この日もLINEを送った。そして、これまでに送った文章、写真を振り返り、そのとき、そのときの自分の心を知る。こんな父親でも妻は笑ってくれているかな。
清水健(しみず・けん)
フリーアナウンサー。8歳の長男誕生後に妻を亡くし、シングルファーザーに。
コメント