駄菓子店から地域の子を見守る 「リング・リンクくにたち」
駄菓子や「くにちゃん」引き継いで
8月初め、同市谷保の古民家を利用したコミュニティースペースのキッチンで、子どもたちが慣れない手つきでかつお節を削り、近くの畑で採れたモロヘイヤを切って、昼食の準備をしていた。学習支援の拠点にしようと昨年開設した「つちのこ学舎」で、夏休み企画として開いた調理体験の催し。隣の部屋では宿題をしている子の姿も。
リング・リンクくにたちは、子どもたちが気軽に集まれる場所をつくろうと、同市富士見台にオープンした「駄菓子や『くにちゃん』」を運営するため、2012年に設立された。スタッフは、地元の学生や女性ら約20人。国立市の助成金などで運営している。
3児の母の小野さんは、店に長年通う常連だった。前代表理事で「くにちゃん」を始めた同市の吉村多恵子さん(74)に薦められ、昨年5月に後任を引き受けた。吉村さんに涙ぐみながら育児相談をする母親や、成長していく子どもたちを見るうちに「この場所を残したい」という使命感を抱いた。
多い日は、100人もの子どもや親が店を訪れる。「いつも友達と来る子が今日は1人だな、と気付くと、公園を自転車で回ってみます」と、子どもたちの心に気を配る。世間話をするうちに、悩みを打ち明ける親も増えてきた。
代表理事に就任した後、つちのこ学舎を開いた。客として店に通っていた当時、勉強についていけなくなったことをきっかけに友達関係に悩み、学校を休みがちになる子どもたちに接して、学習支援の大切さを痛感したからだ。
ある子は学校を休みがちだが、店には毎週顔を出し、つちのこ学舎の体験に来てくれることになった。子どもの居場所と学習支援の連携が深まりつつある。
おの・まどか
静岡県出身。早稲田大卒業後、イベント会社に就職し、結婚を機に千葉県に。2011年国立市に転居し、16年に地域で学習支援を開始。17年に「リング・リンクくにたち」代表理事に就任。問い合わせはこちらへ。活動資金の寄付も募っている。