キラキラしたママも、実は精神的に孤立… ママ友にも言えないSOSに寄り添う「ホームスタート」
電話をくれただけでも「よく頑張ったね」
―ホームスタートはどんな人たちが利用しているのですか。
身なりもおしゃれで、お金にも困っていないし、ママ友もいる。私たち「ホームスタートこうとう」が活動する東京都江東区は、豊洲や有明など臨海部にタワーマンションが建ち、子育て世帯が多い地域。利用者の多くは、一見すると悩んだり困ったりしているようには見えないママたちです。
それでも訪問してほしい、とSOSの連絡をしてくるのは、精神的に孤立しているからです。このままではまずい、と自分で電話をしてきてくれた時点で、その人は一歩を踏み出している。まずは「よく頑張ったね」と伝えるようにしています。
本音を打ち明けられる、ちょうど良い存在
―利用者と接していてどんなことを感じていますか。
子どもと2人きりは息苦しいから、社会とのつながりは欲しい。でも、「話が漏れるかもしれない」などとためらい、ママ友ともそこまで深く関わることはできず、本音を打ち明けられない。そういう悩みを持つ人たちにとって、私たちはちょうど良い存在なのかもしれません。秘密を守り、話をじっくり聞くことを大切にしています。
児童館などで開かれる子育て広場や、子育て支援センターなどの行政機関に行くのにもためらいがあって、「一緒に行ってほしい」と頼まれることもあります。
週1で訪問、全6回 ママの表情が変わる
―訪問支援の良さはどんなところなのでしょう。
依頼があると、週に1度のペースで1回2時間、研修を受けた地域の子育て経験者が訪問します。一緒に家事や赤ちゃんのお世話をしたり、話し相手になったり。ママたちと一緒に行動することで、徐々に子育てに自信を持ってもらうようにしています。無料で、昨年度はゼロ歳児のいる家庭を中心に、130件の利用がありました。
ある家庭では、ボランティアが抱っこしようとした子どもが「ママがいい」と泣きました。その姿を目にしたママは、あらためて自分はこの子にとって必要な存在なんだ、と感じられたと言います。
そうして全6回の訪問を終えたころには、険しかった表情が別人のように変わるママたちをたくさん見てきました。今のママたちは出産前、仕事を一人前にこなしてきた人が多く、誰かに頼ることを否定的にとらえがちです。でも子育ては頼ったもん勝ち。各地で訪問活動をしている私たちの仲間にぜひ連絡してほしいです。
家庭訪問型子育て支援
ホームスタートこうとうは、英国発祥の支援を参考に2009年に活動を開始。現在、同様の取り組みが全国約100カ所で展開されている。各地の実施団体の連絡先などはホームスタートジャパンのホームページで。
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