〈奥山佳恵さんの子育て日記〉12・新しい日常 「できる」ことに喜びを重ねていこう。次男の成長のように

(2020年6月12日付 東京新聞朝刊)

パパに「海水とってきて」とねだる次男。海は壮大な遊び場です

県またぎの移動はまだ控えているけれど

 緊急事態宣言が解除され、少しずつ街が日常に戻るのを感じます。次男の小学校では短縮授業ではありますが、毎日の登校が始まりました! ランドセルを背負い「行ってきます!」と、うれしそうに玄関から駆けだす姿を見ると、喜びが伝わってきます。


〈前回はこちら〉11・巣ごもりストレスで爆発 そのときダウン症の次男が…


 ただ、私たちが住む神奈川県では、県またぎの移動はまだ控えないといけません。できないことに目が行くと息が詰まってしまう。でも、制限がある時だからこそ、できることを積極的に見つけると、生きやすく、息がしやすくなるから不思議です。

歩いて数分 今は神奈川の海を楽しもう

 神奈川にいよう。地元を楽しもう。お天気の日曜日、家族で久しぶりに海に行きました! 海まで歩いて数分のところに住んでいるのに、外出自粛の間は海にも行っていなかったので新鮮でした。次男は砂遊びや波打ち際で遊び、私とダンナさんは波の音を聞きながらのんびりと、夏の家族旅行についての話。「今年の夏は、瀬戸内海か四国の海に遊びに行こうと思っていたんだけど」「行けるかわからないね」「行けたとしても、地元の方に神奈川から来た、ってことを嫌がられるかな」

 あれ? でも、よく考えたら、目の前には同じ海。「私たちこそ、旅行先に住んでるんじゃない?」。移動手段を考えたり、違う景色を見たり、旅行は楽しい。経済も回る。けれど、できることは目の前にあるのです。着替えを持たずに全身ビショヌレになっても、徒歩で家まで帰れます。太陽があって、家族がいて、みんな笑っていて。距離を保って、お友達と外でごはんを食べることもできる。

 できることの数が増えると、心はますます自由になる。ダウン症の次男が成長する過程で、私がずっと実感してきたことでもありました。

母や祖母とも、オンラインでつながった

 私の実家は、県をまたいだ東京にあります。帰省は長らくできていません。先日、妹が、わが家と実家をオンラインでつなげてくれました! 92歳になったばあちゃんの元気な姿、次男に手を振る母の笑顔。離れていてもすぐそこにいるみたい。デジタルのおかげで可能になった「できる」に感謝です。翌朝、次男が開口一番、「さあ、いまからみんなで行こう!」にはまいりましたが。実家の家族に、会うのはもう少し先。今は、学校のお友達と再会できたことを喜びあおう。

 「できる」ことに喜びを重ねて、少しずつゆっくりと、みんなで新しい日常を作っていきたいと思います。(女優・タレント)

〈次回はこちら〉13・「新しい学校生活」次男が心配で見学したら…いいもの見ちゃった!

コメント

  • 昭和の娘さんへ 奥山さんは、ちゃんとわかっていてとっくに実行されていると思いますよ。 だからこそ、次男君は将来福祉の道に進むことを決めたのでしょう。 子供は大人が考えるより多くを感じ取り、ずっと
     
  • 弟さんを抱きしめる 素晴らしい事です❤️ でも次にお兄さんも抱きしめてあげてくださいネ‼️ いくつになっても可愛い息子達です!長い人生生きていますと色々な家庭の悩みを相談されます!⭐️いつも感じる事