PTA退会で「不利益の承諾書」 行事は参加不可、贈呈品は個別払い…保護者から疑問「子どもは平等では?」

(2021年7月28日付 東京新聞朝刊)

 PTA会費から支出する物品を非会員の子どもには渡せない―。「PTAを退会しようとしたら、こんな不利益事項の承諾を求められた」との相談が、川崎市内の公立小学校に通う児童の父親(45)から本紙に寄せられた。「PTAは全ての子どものための組織なのに」。父親は疑問を感じている。

「非会員に無償で渡すことは、会員の感情的な問題もあり…」

 父親は現在4年生の長男が入学した際、PTAの広報委員を引き受け、2年間担当した。だが行事などの撮影に使うカメラが壊れかけていたり、広報紙が不鮮明なモノクロ印刷だったりと「活動成果が会費に見合わない」と感じた。


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 今年4月、役員に退会を検討していることを伝え、不利益があるか尋ねた。1カ月後に役員から届いたメールに具体的な回答はなかったため、退会届の提出を申し出た。その後渡された用紙には「PTA主催行事への参加は不可」「PTAから支給される物品の費用は個別払い」といった項目を了承する欄があり、役員からは「全員が会員という前提のプレゼントを、非会員に無償で渡すことは会員の感情的な問題もあり、難しい」と説明された。

最初に渡された退会届を見ながら「PTAは全ての子どものための組織なのに」と話す父親(一部画像処理)

 「全ての子どもは平等ではないのか」。父親が校長や市教育委員会に掛け合うと、「PTAを退会します」とだけ書かれた退会届が校長の手紙付きで届いた。だが依然、PTAからの贈呈品は実費負担を求められており、父親は「納得できない」と退会届にサインせず、交渉を続けている。

 この小学校の校長は「非会員のお子さんが絶対に不利益を被らないよう、保護者と一緒に検討していきたい」と話す。

川崎市P連は「全ての子を平等に」 ガイドライン作成

 学校単位のPTAを束ねる川崎市PTA連絡協議会長の舘(たち)勇紀さん(43)は「PTAは全ての子どもを対象に活動する組織」とした上で、PTAが卒業記念品などを贈るなら「全ての子どもに平等に」と強調。「活動のあり方やお金の使い道で意見が割れた場合は、PTA総会で話し合って解決してほしい」と呼び掛ける。

 各PTAがなるべく摩擦の少ない運営ができるようにと、同協議会は4月、「PTA活動における適正化・活性化ガイドライン」をウェブサイトで公表した。サイトの「PTAガイドライン」から申請した上で閲覧できる。

大津市、奈良市、川崎市… 各地で進むPTAの指針作り 

 PTAは保護者と教員が連携して子どもの健全な成長を図る任意加入の団体だ。だが「参加は強制」との誤解が残り非会員の子どもが不利益を被る場面もある。そんな中、正しい理念を浸透させ、適正な活動ができるようにしようと、各地で指針を作る動きが出ている。

「教員や一般の保護者にも共通認識を持ってもらいたい」と話す岡田さん

「会員の不満が解消できないなら、記念品は廃止した方がいい」

 奈良市PTA連合会は昨年4月、「PTA運営の手引き」を作成。「保護者と教師が互いに学び合う」社会教育関係団体であることを明記し、入会申込書を必ず取得する▽公費で負担すべき活動費にPTA会費を充てない▽会費は本来の目的だけに使う-なども記載した。

 全国で改革に取り組む保護者からの情報や、先行例として知られる大津市教育委員会の手引を参考にまとめた。同連合会事務局長の岡田由美子さん(56)は「PTAは学校のお手伝い団体ではない」と指摘。「『会費を払わない人がなぜもらえるのか』との会員の不満が解消できないなら、記念品も廃止した方がいい」と話す。

コメント

  • 文京区のとある小学校に子供が通っています。 運動会の動画WEB配信を業者に委託するのに数十万円を費やしています。(コロナが終息した今年もです。) また、会費は給食費などと一緒に、強制的に徴
    文京区在住 男性 50代 
  • 他の親に負担がいっている、負担に感じつつも我慢して活動に参加しているのは子どものためということなのでしょうが、それは本当に子どものためなんでしょうか。 小さいときは親が学校に来てくれたりして行事
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