PTA退会で「不利益の承諾書」 行事は参加不可、贈呈品は個別払い…保護者から疑問「子どもは平等では?」
「非会員に無償で渡すことは、会員の感情的な問題もあり…」
父親は現在4年生の長男が入学した際、PTAの広報委員を引き受け、2年間担当した。だが行事などの撮影に使うカメラが壊れかけていたり、広報紙が不鮮明なモノクロ印刷だったりと「活動成果が会費に見合わない」と感じた。
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今年4月、役員に退会を検討していることを伝え、不利益があるか尋ねた。1カ月後に役員から届いたメールに具体的な回答はなかったため、退会届の提出を申し出た。その後渡された用紙には「PTA主催行事への参加は不可」「PTAから支給される物品の費用は個別払い」といった項目を了承する欄があり、役員からは「全員が会員という前提のプレゼントを、非会員に無償で渡すことは会員の感情的な問題もあり、難しい」と説明された。
「全ての子どもは平等ではないのか」。父親が校長や市教育委員会に掛け合うと、「PTAを退会します」とだけ書かれた退会届が校長の手紙付きで届いた。だが依然、PTAからの贈呈品は実費負担を求められており、父親は「納得できない」と退会届にサインせず、交渉を続けている。
この小学校の校長は「非会員のお子さんが絶対に不利益を被らないよう、保護者と一緒に検討していきたい」と話す。
川崎市P連は「全ての子を平等に」 ガイドライン作成
学校単位のPTAを束ねる川崎市PTA連絡協議会長の舘(たち)勇紀さん(43)は「PTAは全ての子どもを対象に活動する組織」とした上で、PTAが卒業記念品などを贈るなら「全ての子どもに平等に」と強調。「活動のあり方やお金の使い道で意見が割れた場合は、PTA総会で話し合って解決してほしい」と呼び掛ける。
各PTAがなるべく摩擦の少ない運営ができるようにと、同協議会は4月、「PTA活動における適正化・活性化ガイドライン」をウェブサイトで公表した。サイトの「PTAガイドライン」から申請した上で閲覧できる。
大津市、奈良市、川崎市… 各地で進むPTAの指針作り
「会員の不満が解消できないなら、記念品は廃止した方がいい」
奈良市PTA連合会は昨年4月、「PTA運営の手引き」を作成。「保護者と教師が互いに学び合う」社会教育関係団体であることを明記し、入会申込書を必ず取得する▽公費で負担すべき活動費にPTA会費を充てない▽会費は本来の目的だけに使う-なども記載した。
全国で改革に取り組む保護者からの情報や、先行例として知られる大津市教育委員会の手引を参考にまとめた。同連合会事務局長の岡田由美子さん(56)は「PTAは学校のお手伝い団体ではない」と指摘。「『会費を払わない人がなぜもらえるのか』との会員の不満が解消できないなら、記念品も廃止した方がいい」と話す。
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