【考えようPTA】本部役員就任で「こんなはずじゃなかった」にならないために

(2017年10月27日付 東京新聞朝刊)

 全国の小中学校や高校などで、来年度のPTA本部役員の選考が始まっている。負担の重い会長・副会長・書記の三役は引き受け手がなかなかいないとされ、後任探しに苦労するPTAは多い。中には後任を確保したい一心で、勧誘時に活動内容を過小に説明してしまうケースもあるという。善意で引き受けた人が「こんなはずじゃなかった」と後悔せず、前向きに活動するための注意点とは。

事前の説明と違いすぎ!「家庭が壊れそう」

 「活動は月1、2回、土曜の午前だけと聞いていたが、実際は毎週で、しかも昼食抜きで夕方まで。説明とあまりにも違う」。東京都内の小学校で本部書記を務める30代の女性会社員は納得いかない様子だ。

 学校での活動だけでは書類作りが終わらず、自宅に持ち帰り、深夜まで作業を続けたこともある。「来年度もやらなくてはと責任を感じるが、土曜丸1日PTAにとられると家庭が壊れそう」。悩んだ末、来年度の役員継続は辞退した。

活用予定表を見て、雰囲気を聞いておこう

 PTA本部は学校単位で構成され、役員は十人前後が基本。学年、広報、校外などの各委員会を束ね、PTA全体を動かす司令塔に位置づけられる。毎年秋から年末にかけて来年度の役員選考が本格化する。

 本部は、行事の下準備と本番の進行、会費の取り扱いなど、どちらかといえば裏方の仕事が多い。保護者や学校、地域など大人相手の活動が大半で、子どもと関わる機会が少ないことも、引き受け手が少ない要因の一つとされる。

 役員選考の方法は、現役役員による声掛けか、役員とは別の「選考委員会」が担うかに大別される。公平を期し、広く人材を募りたい場合、選考委員会に任せるケースが多いという。

 ただ選考委員会の場合、引き受けた側から「説明が実態とかけ離れている」との指摘がある。企画「考えようPTA」には、現役の本部役員や経験者らから、役員に誘われた際の助言も多数寄せられている。主な指摘は以下の2点だ。

 (1)役員経験のない選考委員は細かな活動まで把握するのが難しく、説明不足になることもある。また役員の確保に必死となり、活動を控えめに伝えてしまうこともあるので、年間の活動予定表を現役役員に見せてもらい、判断する。

 (2)仕事理由の欠席や、未就学児の同伴が、どの程度まで許されるかはPTAごとに異なる。現役の役員に雰囲気を聞いておく。

 声掛けされた時の主な注意点を表にまとめた。

図解 「本部役員になって」と言われたときの注意点

誘う側の準備も大切

 ただ選考委員も戸惑いを感じている。昨年度、選考委員だった都内の30代パート女性はこう語る。「委員全員が役員未経験者だったが、本部から細かな活動内容は教えてもらえなかった。引き受けてくれた人に『こんなに忙しいと思わなかった』と言われ、申し訳なく思った。今年の選考委員に反省点を引き継いだ」

 声掛けする側に大切なのは準備だ。活動予定表を入手した上で、集まる頻度や活動の曜日・時間帯を具体的に伝える。また仕事をしている人や未就学児への対応を確認しておく。

 「ある日うっかりPTA」(KADOKAWA)の著者で書評家の杉江松恋(まつこい)さん(48)は、小学校のPTA会長を三年務めた体験について「たいへんだったが、地元の人間関係がゆたかになったのはよかった」と振り返った。役員を引き受けるか悩んでいる人には、「事前の情報収集は大事。現役役員に話を聞き、きちんと整理して教えてくれるようなら検討してもいいと思う」とアドバイスする。

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