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【考えようPTA】ウワサの大津市教委発「PTA運営の手引き」 この対応はOK? NG? 4段階で評価

(2019年1月11日付 東京新聞朝刊)

考えようPTA

 「加入の任意性を説明されなかった」など、保護者らからさまざまな指摘がされるようになってきたPTA活動。そんな中、大津市教育委員会は、PTA活動にまつわる課題や対応をまとめた「PTA運営の手引き」を市内の学校長に配布した。加入時の説明については、4つの例を示し、任意と説明しない場合は「違法性を問われかねない」と指摘した。市教委が具体的な対応方法を紹介して評価するのは珍しい。(手引全文はこちらから読めます。)

強制加入、役員選び…「違法性を問われかねない」対応は?

 大津市教委が作成した手引は、A4判15ページ。昨年10月、市内90の公立小中学校長・幼稚園長向けに配布した。PTA活動の中でも、たびたび指摘される、強制加入▽役員の選出方法▽非効率かつ無駄な作業の多さ▽個人情報の扱い▽会費徴収法▽会費の使途▽その他(未加入者の子への教育的配慮、PTAの必要性の説明)-の7つの課題を取り上げた。

 さらに、1つの課題につき3~4つの対応を例示し、理想的▽最低限順守すべき▽改善が必要▽違法性を問われかねず早急な対応が必要-の4段階でそれぞれの対応を評価している=表。例えば、強制加入という課題では、「加入の任意性の説明をしていない」は最低のマイナス評価、「PTA会長らが各会員から入会届を受け取る」は最高評価のレベル2という具合だ。

「子どもや保護者につらい思いをさせてはならない」

 手引を作成したのは、同市教委に寄せられたPTA運営に関する苦情や問い合わせがきっかけ。市教委が2016年2月、小中学校長に調査したところ、「加入は任意」と説明していないという学校が80.0%に上った。改善を促したが、2年以上がたった昨年6月時点の調査でも、説明していない学校は21.8%あった。

 ここ数年、PTA活動を巡っては全国的にさまざまな指摘がされるようになっている。熊本市では、「強制加入させられた」と訴える保護者がPTAを相手取り、会費の返還と慰謝料の支払いを求めた訴訟(和解が成立)もあった。

 加入の任意性の問題の他にも、役員の選出方法や非加入者の子への差別などについて、各地で疑問の声が上がっている。「病気や家庭の事情など、役員をできない理由を他の会員の前で説明させるのは人権侵害ではないか」「非加入家庭の子をPTAが編成する通学班に入れないのは、子への教育的配慮という点で問題があるのではないか」などだ。

 各地の教委や自治体は従来、独立した任意団体のPTAに対して、積極的な介入を避ける傾向にあった。一歩進んだ例としては、埼玉県やさいたま市、大分県杵築市の教委で学校長向けにPTA活動に関する注意事項などの通知を出しているが、理想的な対応を示すことに重点が置かれてきた。

 そうした中、大津市教委の手引には、当初、校長からは「同じ市内でも地域により実情が異なる」など戸惑いの声もあったという。しかし、同市小学校長会の高木悟会長は「子どもや保護者がつらい思いをすることはあってはならない。手引は教育者が知っておくべき内容」と受け止める。

保護者改革は難しい→校長が経験に基づいて提案を

 同市教委には8日時点で、全国19の市教委などから問い合わせがあった。市教委生涯学習課の押栗雅則課長は「毎年役員が入れ替わることもあり、保護者が改革するのは難しい。校長が経験に基づいて事例を紹介したり解決案を提示したりする必要がある。特に任意加入の説明と入会届の提出、非加入家庭の子への配慮は重要」と言う。

 PTA問題に詳しい文化学園大の加藤薫教授(日本文化論)は「理想論だけを打ち出すのではなく、事前の調査で現場の状況を把握した上で、陥りがちな対応について具体的な評価を示している」と評価する。同市内の小学校に子どもが通う男性(54)は「不適切な運営があった場合に、保護者が声を上げる際の参考になる。新年度の役員選考や入学説明会では、手引にのっとった対応をしてほしい」と話す。

※手引全文はこちらから読めます。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年1月11日

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