朝、学校や園に行けない…原因不明の腹痛、頭痛、寝起きの悪さは「心の声」かも〈森戸やすみのメディカル・トーク〉

(2023年9月26日付 東京新聞朝刊)

イラスト・佐藤恵理

本人の話を聞いて、受容しましょう 

 9月も終わるというのに今週も30度以上の日が続きそうですが、お子さんの調子はどうでしょうか。理由の分からない腹痛や頭痛、せき、寝起きの悪さなどが続く場合には、心の問題が原因のことがあります。

 朝は登園・登校を渋るけれど、行かなくていいというとホッとし、午後から夕方には元気にしている子がいます。本人は決してうそをついているわけではなく、前夜や朝には泣いてしまうくらい頭が痛かったり、嘔吐(おうと)を繰り返してしまったりして、つらいのです。寝つけない、夜中に目覚めるといった睡眠障害が出ることもあります。

 まずは、本人の話をよく聞いてみましょう。大人には関係がなさそうに思えても、子どもに自覚がなくても、心配事が体の症状として出ることがあるのです。そして「気にし過ぎじゃない?」「自分を変えないと」などと否定せずに、「あなたはそれがつらいんだね」と受容してください。

 解決策を示さなくても、言葉にできて分かってもらえただけで、楽になることがあります。否定されたり「逃げないで」と叱られたりしたら、園・学校と家庭が世界の全てである子どもに、くつろげる場所がなくなってしまいます。

 家から出たがらないのは、親にとってとても心配です。担任の先生、カウンセラー、養護教諭、子育て支援センター、児童相談所などに相談してみましょう。

森戸やすみ(もりと・やすみ)

 小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)勤務などを経験。「子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版社)、共著に「やさしい予防接種BOOK」(同)など、医療と育児をつなぐ著書多数。「祖父母手帳」(日本文芸社)も監修。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝えます。