ひとりシャンプーのデビューは4~5歳がおすすめ 専門家にポイントを聞きました
まず「なぜ洗髪が必要か」を伝えよう
「お風呂から上がると髪はぬれているけれど、どこまでしっかり洗えているのか」と、愛知県春日井市の女性(46)は苦笑いする。一人で入浴をする小学3年の息子(9つ)は、シャンプーは使っているようだが、特に髪の洗い方を教えたことはないという。
花王が2019年、20~49歳の母親4257人に聞くと、早い子は2、3歳から一人洗いをスタート。5歳では6割が一人で洗髪をしていた。4、5歳は運動機能が発達し、指先の動きが滑らかになる時期。デビューのタイミングとして良さそうだ。
花王グループカスタマーマーケティングは、4~6歳児を対象に昨秋から「シャンプーひとり洗い講座」を幼稚園や保育園で開いている。同社社会コミュニケーション部門中部地区(名古屋市)の山口和代さん(51)は「まずは、頭皮や髪の毛は汗やほこりで汚れていることを伝え、なぜ洗髪が必要かを知らせることが大事」と話す。
地肌しっかりぬらし「指のおなか」で
洗う時は指の内側の柔らかい部分を使う。「指のおなか」と言うと伝わりやすい。事前に、両手の指と指を合わせてぐっと押し合う動きをさせると、感覚がつかめる。また、子どもの髪の毛は細く、からまりやすいため、痛がらないよう、ぬらす前にくしでよくとかしておくといいだろう。
大切なのは、シャンプーがよく泡立つよう、地肌をちゃんとぬらすこと。泡には汚れを包み込む役割がある。同社では、シャワーをかける時間の目安として、童謡「どんぐりころころ」の一番を歌い終わるぐらいと伝えている。
シャワーの時間は「どんぐりころころ」
シャンプーは手のひらで泡立ててから地肌へ。難しければ、泡で出てくるシャンプーを使ってもいい。泡が行き渡ったら、指のおなかを使い、地肌を「シャカシャカ」とリズミカルにマッサージするイメージ。前→後ろ→横→てっぺんというように順番を決めると洗い残しがなくなる。
シャンプーが地肌に残るとフケや赤みなどのもとに。すすぎのシャワーは最初にぬらした時の2倍が目安だ。「どんぐりころころ」を今度は2回繰り返す。「最初は上手に洗えなくて当たり前」と山口さん。水を怖がるならシャンプーハットを使ってもいい。「一緒に自分も洗ってみせたり、一人でできたら『きれいに洗えて気持ちがいいね』『上手に洗えたから髪がさらさら』などとほめたりしてほしい」と呼び掛ける。
幼児の頭皮は大人より薄く、水分も皮脂も少ない
子どもの皮膚疾患に詳しいタナカ皮膚科(名古屋市中村区)院長、田中義人さん(38)によると、幼児期の皮膚は成人より薄い。水分量、皮脂量も少なく、常に乾燥していてバリアー機能が未熟だ。
とはいえ、外遊びの機会も多い子どもの頭は汗やほこりなどで汚れている。子ども用のシャンプーは大人用に比べて洗浄力が弱く、低刺激なため「基本的に毎日洗髪しても問題ない」と田中さん。ただ、肌が荒れたら2、3日に一度にするなど様子を見た方がいいという。
もし皮脂が気になる場合は、大人用のシャンプーを試すのも手だ。子どもの頭皮をしっかり観察し、一番いい方法を選ぶことが大切という。