子どもの混浴制限「10歳」から「7歳」に引き下げ相次ぐ 自治体間でばらつき、トラブルの懸念も

宮畑譲 (2022年1月16日付 東京新聞朝刊)
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東京都内の公衆浴場について、混浴制限年齢が10歳から7歳に引き下げられたことを伝えるポスター

 銭湯などの公衆浴場で男女の混浴を制限する年齢を引き下げる自治体が相次いでいる。厚生労働省が目安を「10歳以上」から「7歳以上」に変更を通知したことがきっかけだが、自治体によってばらつきもある。トラブルにならないか。

厚労省が2020年に通知 盗撮などに配慮

 「今まで問題は起きていないが、小学生の保護者から『同級生の異性と同じお風呂に入ってしまう』という意見はあった」

 1月1日から混浴制限が「10歳以上」から「7歳以上」になった渋谷区で、銭湯を経営する女性はこう話す。この銭湯では、今回の改正前から小学校入学後は、男の子は父親と、女の子は母親と入浴することを促す内容を張り紙に書いていたという。

 混浴制限の年齢引き下げは、厚労省が都道府県などに対して2020年に通知を出したことが発端だ。自治体や業界団体などから「混浴できる年齢が高すぎるのでは」との声を受け、厚労省が調査研究を実施。これまでのおおむね「10歳以上」から小学校入学後の禁止を意味する「7歳以上」に引き下げた。

 研究では、子どもの発育が早まっていることや、盗撮の被害が増えていること、混浴に違和感を抱く外国人がいることなどが指摘された。また、混浴を恥ずかしいと思う子どもの年齢は6~7歳だったという。

山形・岩手は「12歳以上」から変更準備

 混浴制限の年齢は公衆浴場法に基づき、国が基準を示してきた。詳細は都道府県などが条例で定める。公衆浴場法ができたのは1948年。前回、厚労省が「10歳以上」と通知したのは2000年のこと。社会情勢が変化したのに基準が古いままになっていたことも今回の引き下げの背景にある。

 しかし、その厚労省生活衛生課の担当者自身も「人によって感覚は違うので、線引きは難しい。それで『おおむね』としている」と歯切れが悪い。

 明確な線引きの難しさを反映してか、自治体によって混浴制限の年齢はばらつきがある。地方自治研究機構によると、11日現在、7歳以上から12歳以上まで5年の開きがある。この時期の5歳差は大きい。ちなみに今年4月1日から「7歳以上」に変更する自治体は14あるという。

 「12歳以上」としている山形、岩手両県は「7歳以上」に条例を変更する準備をしている。「10歳以上」としている群馬県は「急いで引き下げる考えはない」とし、その理由に「事業者から小さい子が1人で入浴した時の事故を心配する声がある」ことを挙げる。

「子どもの性自認 考えるきっかけに」

 自治体間でばらつきのある混浴の年齢制限。いつもと違う街で子どもと入浴したら、条例違反だった、ということにもなりかねない。また、一気に5歳も引き下げられると混乱する人もいるかもしれない。

 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「かなり年齢を前倒しにした印象で、今までにない制約をかけることになる。根拠の周知は大切だ」と指摘する。その上で、「日本は子どもの性自認を緩やかに捉えてきた。子どもは独立した人格と考える議論のきっかけになる可能性はある」と一定の評価をする。

 冒頭の銭湯経営の女性は「家族みんなで大きなお風呂に入るというのは日本の文化。今風にやっていく難しさはあるが、銭湯文化を大事にしていきたい」と話している。

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