ひとりシャンプーのデビューは4~5歳がおすすめ 専門家にポイントを聞きました

長田真由美 (2022年2月25日付 東京新聞朝刊)
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ひとりでシャンプーする6歳児。「指のおなか」を使うのがポイント

 新学期に向け、子どもが自分で髪を洗う「ひとりシャンプーデビュー」をしてはどうだろう。最近は、銭湯などの公衆浴場で混浴ができる年齢を引き下げる自治体が相次ぎ、親と入浴ができない場合も。厚生労働省が一昨年、目安を「10歳以上」から「7歳以上」とする通知を都道府県に出したのがきっかけだ。自分で洗う時のこつと注意点を、専門家に聞いた。

まず「なぜ洗髪が必要か」を伝えよう

 「お風呂から上がると髪はぬれているけれど、どこまでしっかり洗えているのか」と、愛知県春日井市の女性(46)は苦笑いする。一人で入浴をする小学3年の息子(9つ)は、シャンプーは使っているようだが、特に髪の洗い方を教えたことはないという。

 花王が2019年、20~49歳の母親4257人に聞くと、早い子は2、3歳から一人洗いをスタート。5歳では6割が一人で洗髪をしていた。4、5歳は運動機能が発達し、指先の動きが滑らかになる時期。デビューのタイミングとして良さそうだ。

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上手に洗えたらほめてあげよう

 花王グループカスタマーマーケティングは、4~6歳児を対象に昨秋から「シャンプーひとり洗い講座」を幼稚園や保育園で開いている。同社社会コミュニケーション部門中部地区(名古屋市)の山口和代さん(51)は「まずは、頭皮や髪の毛は汗やほこりで汚れていることを伝え、なぜ洗髪が必要かを知らせることが大事」と話す。

地肌しっかりぬらし「指のおなか」で

 洗う時は指の内側の柔らかい部分を使う。「指のおなか」と言うと伝わりやすい。事前に、両手の指と指を合わせてぐっと押し合う動きをさせると、感覚がつかめる。また、子どもの髪の毛は細く、からまりやすいため、痛がらないよう、ぬらす前にくしでよくとかしておくといいだろう。

図解 子どもの「ひとりシャンプー」の手順

 大切なのは、シャンプーがよく泡立つよう、地肌をちゃんとぬらすこと。泡には汚れを包み込む役割がある。同社では、シャワーをかける時間の目安として、童謡「どんぐりころころ」の一番を歌い終わるぐらいと伝えている。

シャワーの時間は「どんぐりころころ」

 シャンプーは手のひらで泡立ててから地肌へ。難しければ、泡で出てくるシャンプーを使ってもいい。泡が行き渡ったら、指のおなかを使い、地肌を「シャカシャカ」とリズミカルにマッサージするイメージ。前→後ろ→横→てっぺんというように順番を決めると洗い残しがなくなる。

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すすぎのシャワーは、ぬらした時の2倍が目安

 シャンプーが地肌に残るとフケや赤みなどのもとに。すすぎのシャワーは最初にぬらした時の2倍が目安だ。「どんぐりころころ」を今度は2回繰り返す。「最初は上手に洗えなくて当たり前」と山口さん。水を怖がるならシャンプーハットを使ってもいい。「一緒に自分も洗ってみせたり、一人でできたら『きれいに洗えて気持ちがいいね』『上手に洗えたから髪がさらさら』などとほめたりしてほしい」と呼び掛ける。

幼児の頭皮は大人より薄く、水分も皮脂も少ない

 子どもの皮膚疾患に詳しいタナカ皮膚科(名古屋市中村区)院長、田中義人さん(38)によると、幼児期の皮膚は成人より薄い。水分量、皮脂量も少なく、常に乾燥していてバリアー機能が未熟だ。

 とはいえ、外遊びの機会も多い子どもの頭は汗やほこりなどで汚れている。子ども用のシャンプーは大人用に比べて洗浄力が弱く、低刺激なため「基本的に毎日洗髪しても問題ない」と田中さん。ただ、肌が荒れたら2、3日に一度にするなど様子を見た方がいいという。

 もし皮脂が気になる場合は、大人用のシャンプーを試すのも手だ。子どもの頭皮をしっかり観察し、一番いい方法を選ぶことが大切という。

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