Mattさん 「野球をしないのはもったいない」と言われても…母がいつも味方だった
野球を続けたら自分がダメになる
小学1年から野球を始めました。父(プロ野球巨人の元投手で現コーチの桑田真澄さん)も兄も、家での会話は野球がほとんど。自分もやらないと、という責任は感じていました。でもスライディングで泥んこになったり、掛け声を出さなくちゃいけない野球があまり好きではなかった。楽しかったのはピアノやお絵描き。このまま野球をずっと続けていったら、自分がだめになると感じていました。
小学6年の時、父が指導していた中学生のチームに入らず、野球はやめると決めました。父に「音楽をやりたい」と伝えると、「自分の人生だから好きな道に行きなさい。野球以外のことは手助けできないから努力しなさい」と言ってくれました。本当は野球をやってほしかったんだろうなと、今思うと感じます。
「高校やめたい」と母に告げたら
父が遠征などでいつもいるわけではない分、母には何でも相談していました。「やりたいことに正直でいよう」と、中学の吹奏楽部でドラム、フルート、アルトサックスと楽器を替えた時も、僕の意見を否定せずに話を聞いてくれました。よく覚えているのは高校1年の時。自分は昔から女の子との距離が近くて仲良くしていたら、校則で禁止された男女交際をしていると誤解され、吹奏楽部の顧問に怒鳴られて携帯電話を没収された。母に「もう高校をやめたい」と漏らしたら、「これからいろいろ経験して成長するんだから。音楽を続けるっていう目標があるんでしょう」と根気よく話してくれました。おかげで自暴自棄になって高校をやめることなく、音楽も続けられて今の活動につながっています。
時には先生からも「なんで野球をやらないんだ。もったいない」という言われ方をされたけど、母は折に触れて「あなたにしかない、素晴らしいものがある」と言ってくれていました。野球選手の奥さんであった母は、きっと息子がそう言われると予測できていたんだろうと思います。
第一線に復帰した父、応援したい
僕は大学4年の時に米国に留学し、ハロウィーンの仮装でメークした写真がインターネットで注目されて、テレビに出るようになりました。それ以降、母は仕事のマネジャーもしてくれているので、今はいつも一緒です。仕事も生活のことも、話していないことを見つける方が難しい。何でも理解してくれるので、やりやすくて楽しいです。
今年は父が久しぶりに野球のユニホームを着るようになって、これまで以上に表情が生き生きしています。家の中でも最近少なかった野球の話題で持ちきりです。相変わらず野球用語はちんぷんかんぷんだけど、笑って聞いています。大好きな野球の第一線に復帰した父を応援したいなと思っています。
Matt(まっと)
1994年、東京都生まれ。大学時代にブライダルモデルを始め、卒業後はタレントとしても活動。独特なメーク姿に画像を加工する「Matt化」も人気を呼んだ。2019年に自ら作詞作曲した「予想もつかないStory」で歌手デビュー。母の真紀さんが子育てを振り返る著書「あなたはあなたのままでいい」(講談社)が今月発売された。
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