ソプラノ歌手 辰巳真理恵さん これからも父・辰巳琢郎は「先輩」

草間俊介 (2018年12月16日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

家族のこと話そう

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父で俳優の辰巳琢郎さんについて話すソプラノ歌手の辰巳真理恵さん(稲岡悟撮影)

父が有名人…子どものころは嫌だった

 父は俳優の辰巳琢郎です。子どものころは父が有名人なので色眼鏡で見られ、「嫌だな」と思うことも多々ありました。でも、気が付いたら、同じ芸能界へ。それで、父のことがわかってきました。父は記憶力がよく、常にどっしりと構えて明るく前向きで、小さなことにクヨクヨしません。大好きなところです。

 父も母も医療系の家です。父こそ「好きなことをやりたい」と医師になりませんでしたが、母は薬剤師の資格を持っています。外科医の父方の祖父から子どもの時に、おもちゃの聴診器をもらい、医師になるものだとばかり思っていました。ただ、歌ったり踊ったりが好きで、中学はコーラス部、高校はミュージカル部に所属しました。父はよく演劇やミュージカルに連れて行ってくれました。

「歌手になりたい」に母は大反対 父は…

 高校2年の時、父が出演する宮本亜門さん演出のミュージカル「キャンディード」を見ました。衝撃でした。「あのヒロインのように歌いたい」と強くあこがれました。

 医師から歌手へと方針転換です。でも、どうやって父母に話そうか。反対されるに決まっています。そうだ、機嫌がよく、ピリピリしていない夕食の時に話してみよう。

 母は予想どおりに大反対。父はうーんと腕を組み、「俺も好きなことをしているからなあ。反対はできない。でも厳しい世界だから、音大に行って一からクラシックを勉強するという条件なら」と、認めてくれました。

女子会に突然登場!友人はみんな大喜び

 音大在学中にコンサートやミュージカルに出演し始めました。父は私が出演するミュージカル、オペラなどは必ず見に来ます。新潟、富山の公演にも来たことがあります。

 父は私のステージを見て、「他の出演者とかぶらないよう、立ち位置を考えて」「照明の中へもっと入れ」「メークがだめ」などと具体的にアドバイスしながら話し相手になってくれます。

 父とはよくコミュニケーションが取れています。友人たちと夕食に女子会をしていると、父から「今どこ?」とメールが入ります。店の名前を返信すると「近くにいるから行く」。友人たちは皆「うそだあ」と。でも、本当に現れて皆は「うわあ、来た」と大喜び。気さくな父らしいですが、私も嫌ではありません。

 9月に初めて出したCDに、友人が作詞作曲した「ありがとう」という曲を入れました。父への感謝の気持ちを曲にしてもらいました。でも、私は私。ステージに立ったら真剣勝負です。人々に感動を与え、愛される歌手でありたいです。

たつみ・まりえ 

  1987年10月大阪府生まれ。東京音楽大大学院修士課程声楽専攻独唱研究領域修了。ソプラノ歌手としてコンサート、オペラ、ミュージカルなど幅広く活動。今年9月発売のCD「バ・ベ・ビ・ボ・ブュ」でメジャーデビュー。来年3月都内で公演されるオペラ「ロメオとジュリエット」出演予定。詳細は公式ホームページで。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年12月16日

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