外出自粛でDVや虐待が増えてしまう コロナ対策めぐり都に3万人の署名提出
小倉貞俊 (2020年4月8日付 東京新聞朝刊)
新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛対策に伴い、ドメスティック・バイオレンス(DV)や虐待被害の増加が懸念されている。東京都内の社会福祉士が約3万人分のオンライン署名を集め、暴力被害にあっている人への住居支援策を求める要望書を7日、都に提出した。
社会福祉士が呼び掛け「相談が増え、内容も深刻化」
オンライン署名を呼び掛けたのは、生活困窮家庭などの支援に取り組む板橋区の社会福祉士、佐藤真紀さん(36)。「外出自粛の拡大で、DVや虐待を巡る相談件数が増え、内容も深刻化してきた」と振り返る。
佐藤さんは、ネットカフェなどの避難場所が営業を休止したり、虐待する親が自宅勤務になったりすることで、被害リスクが高まりかねないと懸念。3月28日からインターネット上で、都に支援を求める署名活動を始めていた。
被害者の住居確保や緊急シェルター設置などを要望
署名活動と併せてネットで実施したアンケートには「両親から虐待されており、緊急事態宣言で外出自粛要請が強まれば一層、逃げ場がなくなる」(20代女性)、「夫からDVを受けて家を出ていたが、新型コロナの影響で派遣切りにあい、家に戻らざるを得ない」(30代女性)など、不安の声が寄せられた。
署名簿とともに東京都に出した要望書には、住居のない人や一時避難が必要な人に向けた住居確保と緊急シェルターの設置、緊急相談窓口設置とソーシャルワーカーの派遣などを盛り込んだ。佐藤さんは「リスクにさらされている青少年や女性たちは少なくない。命と安全を守るためにも、対応していただければ」と話した。