演説中の抱っこ、選挙カーでの授乳…「子連れ選挙」に総務省が見解 公選法上は問題になるの?
坂田奈央 (2023年3月3日付 東京新聞朝刊)
自分の子どもを連れた選挙運動が公職選挙法上問題となるかどうかを巡り、総務省は1日、実例を踏まえた見解をまとめ、各都道府県の選挙管理委員会に通知した。あいまいな線引きに悩む当事者の声を受け、統一地方選を前に整理した。
15問の質疑応答集で「抵触」も指摘
公選法は18歳未満の選挙運動を禁じている。昨年の参院選でも、子どもを同行させて選挙運動を行わざるを得なかった候補者が「公選法違反だ」と批判される事例があった。
総務省がまとめた15問の質疑応答集では、選挙運動用の車の中で授乳することや当選後に一緒に万歳をすることは「差し支えない」と明確にした。子どものポスター貼りなども「単純な機械的労務のみであれば差し支えない」とした。
一方、当事者が判断に迷う部分も残った。選挙運動中に自身やスタッフと一緒に歩くことや街頭演説中に子どもを抱くことは、有権者に働きかける選挙運動として法に抵触するおそれもあると指摘した。
Q. こどもが候補者やそのスタッフと一緒に歩くことはできるか A. 単に場所を移動している際に同行しているのみであれば差し支えない。ただし、こどもが選挙人に働きかけるなど選挙運動をし、または選挙運動のために使用されていると認められる場合には、法に抵触するおそれがある |
Q. こどもが選挙運動用はがきの宛名書きや選挙運動用ポスターを貼ることはできるか A. 単純な機械的労務のみであれば、差し支えない |
Q. 街頭演説の際にこどもを抱くことはできるか A. こどもが選挙人に働きかけるなど選挙運動をし、または選挙運動のために使用されていると認められる場合には、法に抵触するおそれがある |
Q. 選挙運動の合間に選挙カーのなかで授乳することはできるか A. 差し支えない |
「子育て中の候補者には大きな前進」
子育てしながら地方議員を目指す親を支援する「こそだて選挙ハック!プロジェクト」発起人の田村真菜さんは「小さな不明点は残るが、ただ子育て中の候補者にとって大きな前進で、励みになる」と話した。
子連れ選挙の問題は、国民民主党の伊藤孝恵氏が昨年の参院政治倫理・選挙制度特別委員会で質問。寺田稔総務相(当時)が質疑応答集などの作成を検討する考えを示していた。
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