証言「あれが産後クライシスの引き金だった」 出産でもう夫婦のズレ〈座談会・私たちの産後クライシス①〉

 東京すくすくでは、読者のみなさんの生の声を聞かせていただきたいと考え、「すくすく座談会」を開きました。参加してくださったのは都内で子育て中の4人のみなさん。話題は多岐にわたりましたが、中でも盛り上がったテーマが「産後クライシス」です。今回はその模様を3回に分けてお伝えします。

〈参加者のみなさん〉

マリコさん 30代主婦。3歳の長女と夫と都内で3人暮らし。長女は幼稚園に通わせる。「数年ごとに転勤が。働いているママたちをうらやましく感じることもあります」

 

アサミさん 40代会社員。3歳の長男の出産を機に夫と3人で都内で暮らし始めた。「はからずも高齢出産。息子に振り回されながら過ごしています」

 

ハルカさん 40代フリーのイラストレーター。都内で夫と、小学4年と幼稚園年中の2人の男の子と暮らす。「夫は最近ようやくパパらしくなってきたような…」

 

ユキエさん 30代会社員。夫が海外赴任中で、保育園に通う4歳の長男と都内で2人暮らし。「フルタイムで働きながらのワンオペ状態は大変ですが、ママ友に助けられることも」

今でもこの話をすると涙が出て…

編集チーム 今日はお集まりいただきありがとうございます。今日はみなさんが子育ての中で感じる率直な思いを聞かせていただけたらと思っています。

 さっそくですが、東京すくすくでよく読まれていて、コメントも多く寄せられている記事のテーマに「産後クライシス」があります。みなさんは、夫婦関係を振り返って、これが産後クライシスのきっかけだったな、というのはありますか?

産後クライシスについて本音を語り合った「すくすく座談会」。奥は右から小林由比・東京すくすく編集長、今川綾音・副編集長

ユキエ 私は実家が遠方にあり、里帰り出産したのですが、夫は東京にいて、私が産休に入った後は別々で過ごしました。私は立ち会い出産を望んでいたんですが、夫が「嫌だ」と。友達がけっこう「立ち会いしてくれたよ」と言っていたので、当たり前と思っていたのに「嫌だ」と言われて…。すみません、今でもこの話をすると涙が出てきちゃって…。出産、妊娠関係の恨みって今でもあるんです。

 なんとか立ち会ってもらいたくて、夫に漫画『コウノドリ』を送ってみたり。無事に生まれてくることは当たり前じゃないということを知ってほしかったんですけど、何の反応もなくて。絶対読んでない!って思って、「不安だから立ち会ってほしいけど、そんなに嫌だったらいいです。そのとき選んでください」と伝えました。

 

編集チーム 結局、出産のときは?

 

ユキエ 陣痛が始まって、夫は駆けつけてくれましたが、私は痛くて「ギャー」って獣のような状態になってるんですけど、分娩室に入るタイミングで「あ、僕はいいです」って行っちゃった。そこから何時間も闘って産んだので、「裏切られた」という気持ちがすごくある。一番支えてほしい人だったのに、分かってもらえなかった。

何生ぬるいこと言ってんの?

編集チーム 立ち会うの、なんで嫌だったんでしょうね。

 

ユキエ 怖い、気持ち悪い、血を見たくないっていうことみたいです。

 

アサミ うちも血が怖いってずっと言ってて。そんなの女の人なんて毎月あることなのに何生ぬるいこと言ってんの?みたいな。

 

ユキエ 自分は何にも痛くないくせに…。

 

マリコ そうそう!

 

アサミ うちは夫が年下なんですけど、血が怖いとか言ってる場合じゃないってことを体感しないとこの人も変わらないと思ったので、半ば強引に立ち会ってもらいました。やはり知らずに通るっていうのはどうなのかな、と。

 

編集チーム 自分がそうしてもらいたいと思っていて、しかも一番のスタートのところじゃないですか。それは傷になるのはすごく分かります…。産む私たちが一番怖いわけですもんね、何が起きるか経験したことがないわけだから。

 

一同 そうですよ~!

 

ユキエ 「みんなちゃんと産んでるんだから、おまえも大丈夫だろ」みたいなスタンスが透けて見えた。「痛くても産めるもんだし」って当たり前に思っている感じが。

読者のコメント①出産で傷ついて

 東京すくすくの「産後クライシス」の記事には、出産時の夫の心ない言動に深く傷つき、今も恨んでいる妻たちのコメントがたくさん寄せられています。抜粋して紹介します。

◇それで「立ち会った」と言う?
 看護師に「生まれそうになったら電話しますので」と言われ、自宅に戻りワールドカップ観戦。産道から出る時だけ立ち会って「立ち会った」と豪語した。

◇寝ていた夫に鬼電
 里帰り出産し実家から戻る日、夫に10時に迎えを頼んだが、正午を過ぎても来ない。連絡もない。鬼電してようやくつながると「寝ていた」と…。ごめんの一言もなく、私の機嫌が悪くなっていることに逆ギレする始末。荷物を車に運んでと頼むと「偉そうに言うな!俺はアルバイトじゃないんだぞ!」。

◇携帯片手に待ってるだけ?
 帝王切開で出産。退院時、おなかの傷で歩きにくい体のまま、子どもを抱いて会計、手には荷物、そんな状況でも離れた場所で携帯片手に待つ夫。車までも無言でスタスタ一人で歩いていった。

◇「立ち会いたい」って言ったの誰よ
 妊娠がわかって「立ち会いたい」と言われたので里帰りせずに出産。退院後、家事をそれほどやってくれず、掃除洗濯料理をやらされた。出産前に助産師さんに「サポートします」と言っていた言葉はうそだった。

いつの間にか夫への「あきらめ」が

編集チーム その先の子育てでも、社会全体が「女だったら、お母さんになったら誰だって子育てはできるもんでしょ」という中でスタートしなきゃいけないのはしんどいですよね。私たちだって初めてだし、知らないよそんな、って感じじゃないですか。

 

ユキエ 母性で何とかなると思ってる。

 

編集チーム ないから、そんなの。

 

ハルカ 出産後、なんといっても一番大変だったのは子どもの夜泣きがすごかったこと。生後半年くらいから1時間おきぐらいに夜泣きするようになり、私は全然眠れなかった。でも、夫は仕事が忙しくてほとんど帰ってこられなくて。帰ってきても夜中の3時とかで、起きたらまたすぐ仕事に行く。子どもの面倒は全部自分が見ていたので、精神状態がギリギリで、区役所に泣きながら駆け込んだりしました。当時住んでいた区は保育園に預けられる状態ではなくて、一時保育も空いてないし、いろいろハードルが高くてリフレッシュもできず、人生一回終わっちゃったみたいな感じでした。

 でも夫の生活は赤ちゃんが生まれても変わらなかったんですよね。飲みに行って帰ってこなかったり。もう少し大きくなってからも、たまたま家にいるときに、私がイライラして子どもにささいなことで怒ってしまったりすると「私の声にイライラする」と言われたり。話し合っても、その場で「ごめん」という能力はすごく高いんだけど、結局同じことの繰り返し。いつの間にか相手に対してあきらめのような気持ちになっていきました。

言ってもつらさを分かってくれない

編集チーム 産後クライシスについて1200人くらいのお母さんに調査した記事でも、「夫に言ってもつらさを分かってくれない」という声がとても多かったです。

 「赤ちゃんが寝ないのに、夫は寝てしまう」「自分は自由な時間がないのに夫は何も変わらない」「24時間体制で赤ちゃんの生死を気にしているのに、夫は会社に行けば自分のタイミングでご飯も食べられる、トイレも行けるっていうありがたみに全く気づいていない」っていうところが一番大きかった。それで「こんなにしんどいんだったら、もう1人生まれたら私死んじゃう。倒れちゃうから、2人目以降はとても考えられない」となっていくわけです。

読者のコメント②夫婦のズレ

 子どもが生まれて幸せいっぱいのはずの、子育てのスタート。現実は、家庭で一人で24時間赤ちゃんと向き合う妻と、仕事で疲れて帰ってくる夫…。気持ちのすれ違いや夫からの共感のなさに、やりきれなさや悲しみを感じる妻の姿が、産後クライシスの記事に寄せられたコメントから見えてきます。

◇共感のなさが致命的
 夫に「大変だから1分1秒でも早く仕事から帰ってきてほしい」と伝えたら、「そんなに?」と言われ温度差を感じた。共感してくれないことが一番の問題。

◇「俺は俺の時間がないとダメ」?
 家事育児の前に、自分のやりたいことを始める夫を注意したら「俺は俺の時間がないとダメなんだ」と。私には自分の時間なんてない。夫は通勤時間や会社の休憩時間に、好きなだけ自分の時間が取れるだろうに。

◇サポートがある状況でしか育児してないよね
 周りは夫が育児に協力的な面をとてもほめる。確かに助かっているし、ありがたいとは思うが、私は毎日育児をしていても誰かにほめられたことはない。夫が育児をする時はいつも私がいて何かしらのサポートがある環境での育児だが、私は夫がいない時に誰のサポートもなく全ての育児をしている。ほめられていい気分になっている顔を見るとイラッとしてしまい、感謝の気持ちが出てこない。

◇子どもと24時間一緒が幸せだと思う?
 子どもが7カ月で夜泣きや夜間授乳などでつらい時、「つらい」と夫に訴えたら「こんなにかわいい子と24時間一緒で何が不満なの?」と言われた。寝ていなくて体力的にもつらいことも、昼間孤独なことも、少しは理解して寄り添ってほしかった。

◇限界に達している私に気づいて
 1歳2カ月の子の卒乳を夫に相談したら、「お互い仕事が大変だし、今は夜ぐっすり眠れる方がいいんじゃない? だからまだ母乳をあげてようよ」と言われた。子どもが寝てから残っている家事をやり、子どもが夜中に起きれば付き合い、寝られていなくても早起きしている私が限界に達していることに気づいてくれない。

◇「いつも怒ってばかり」にショック
 1歳11カ月の娘はイヤイヤ期。最近「いつも怒ってばかり」と夫に言われて傷ついている。気を使って頼んでいるのに。産後何かと体調不良でも毎日ずっと必死なのに、どうして? 夫には怒ってばかりにしか見えないのが残念。家事は手伝ってくれたりはするけど、育児の大変さの感じ方にズレを感じている。

 座談会での話や読者のコメントから、妊娠、出産という夫婦にとって環境が激変する時期に、モヤモヤしたり、夫への違和感を覚えた女性が多いことが伝わってきます。次回・私たちの産後クライシス②では、育児が本格的に始まってからのエピソードをお伝えします。

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コメント

  • ①退院後初めての夫の休日、私が昼に食べる冷やし中華を茹でている横で夫はYouTubeを見ていた。私が不機嫌になると「なんでそんなことで不機嫌になるの」と逆ギレされた。 私が、動画見てる余裕あるな
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  • 読んでいて涙が出ました。こんなに傷ついている人がいる。社会問題にしていいと思う。 ①出産時はなし でも、出産前の悪阻で辛いとき、吐きそうになると「ふざけてんのか?」と茶化して来た。 ②授
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