〈古泉智浩さんの子育て日記〉8・「ジャンパー着ると寒い」 5歳児の理不尽さに困ってます

(2019年11月8日付 東京新聞朝刊)

法事の後、くつろぐうーちゃん(右から2人目)。着る物問題が勃発

夏物→秋物 そこで問題発生

 寒くなってきました。服を夏物から秋物に、半袖半ズボンから長袖長ズボンに替えていっております。

 ここで問題発生。5歳の養子の男の子うーちゃんはちょっとこだわりの強い性格です。ただでさえ朝は寝起きが悪くて支度に時間がかかるのに、秋服への抵抗が強くて困っています。


〈前回はこちら〉7・延々続くやりとりは大変だけど…会話のリズムは完璧!


 朝は眠っているところを7時半に強引にベッドから抱き上げてトイレに連れて行って用を済まさせ、オムツからパンツにはき替えさせます。リビングへも抱えて連れて行くので、毎朝人さらいをしているような気分になります。ほぼ目を閉じたままでパジャマから洋服に着替えさせます。そのままおとなしく着てくれればいいのですが、変に気が付くと大変です。

「寒いから脱ぐ」ひどい難癖

 「僕はこの服が嫌いなんだ」「その服は着ると寒い」といちゃもんが始まります。寒いと言った服はジャンパーです。化学繊維の肌触りが着る時に冷たく感じるのかもしれません。

 「じゃあ、パパがこすってあげるからあったかくなるよ」。そう言って服の上からごしごしと体をこすります。「ほらあったかくなったでしょ」と言うとニヤニヤしているだけで、同意はしません。

 そうしてなんとか、朝食を食べたり食べなかったりで、妹の里子で1歳のぽんこちゃんと一緒に車に乗せて保育園に連れて行きます。ところが、保育園に着いたらジャンパーを脱いでいます。着ていると寒いからだと言います。寒いからジャンパーを脱ぐとはひどい難癖です。

 「脱げばあったかくなるのかよ!」と、保育園の駐車場だというのに思わず声を荒らげてしまいました。

「羽織る」で妥協…モデルか!

 特に困るのが運動着の日です。よその子は半袖半ズボンの運動着の下にスパッツや長袖Tシャツを着ているのに、うーちゃんはかたくなに拒みます。「僕は暑いのも寒いのも平気なんだ」「保育園は嫌いだから風邪をひいてもいいんだ」とめちゃくちゃな理屈をこねて、着せた服を脱いでしまいます。妥協案として、半袖の運動着の上に薄手のジャケットを袖を通さずに肩に羽織るというモデルのようないでたちとなりました。

 変に知恵が回って我を通すために主張しますが、内容は理不尽この上なく、ひどい風邪をひく前に分別がついてほしいものです。うーちゃんがもしこのままだとしたら、相当生きづらい人生となるのではないかと心配でなりません。(漫画家)