災害時の高校での避難所開設、生徒が手伝います 大宮武蔵野高の運動部員たちが自治会と協力
地元自治会の人出足りず 平日など協力
大宮武蔵野高校は地震などの発生時に、地域の1103世帯の指定避難所となっている。避難所開設は地元自治会の自主防災会が担うが、地域住民の安否確認や救助活動も行う必要があり、避難所に充てられる人手が足りないことが課題となっている。
そこで、地域貢献活動に積極的な同校の陸上競技部などが、避難所開設を手伝うことを発案。生徒たちが校内にいる平日の日中などに災害が起きた場合、まとまりが強い部活動のメンバーが中心となり、体育館に避難スペースを設ける準備や、避難者の受け付けなどにあたることを決めた。
同校では9月から、避難所開設支援に協力する生徒を募り、これまでに陸上競技部や野球部、サッカー部などから約20人が応じている。池田泰校長は「動ける生徒が40人くらいになれば、よりスムーズに初動支援ができる」として、他の部活にも協力を呼びかけていく考えだ。
生徒、保護者、地域住民らで学習会も
今月8日、同校で防災学習会が開かれ、池田校長が地元の馬宮地区自治会連合会の清水幹雄会長(74)に協力を申し出た。清水会長は「学校の中の様子を知っている生徒たちの協力は非常にありがたい。長年の懸案事項を解決するため、この取り組みを成功させたい」と感謝を口にした。
学習会では、生徒や保護者、地域住民ら約100人が災害時の避難経路を考えるグループワークも実施。参加者たちは自治会などで分かれ、「マンホールや側溝は水があふれ出す可能性がある」「高齢者らは斜面や段差があると避難に時間がかかる」といった注意点を話し合いながら、地図上に経路を書き込んでいった。
グループワークを通じ、生徒たちは年の離れた地域住民とも打ち解けた様子。陸上競技部員で生徒会副会長の利根沢蓮さん(1年)は「自治会のメンバーはとてもいい人たちなので、力になりたいと思った」と笑顔を見せた。同部副部長の関口琉偉(るい)さん(2年)も「災害が起きたらどう動くのかを頭に入れておきたい」と気を引き締めた。
生徒たちは15日にも、同校で行われたさいたま市主催の避難所開設訓練に初めて参加し、災害時の対応を学んだ。