災害時の高校での避難所開設、生徒が手伝います 大宮武蔵野高の運動部員たちが自治会と協力

杉原雄介 (2022年10月18日付 東京新聞朝刊)
 埼玉県立大宮武蔵野高校(さいたま市西区)の生徒たちが、災害時に校内で避難所を立ち上げる際の初動対応を支援することを決めた。同校によると、高校生が避難所開設に携わるのは県内でも珍しいという。
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避難所開設訓練に初めて参加した生徒ら=いずれもさいたま市西区の大宮武蔵野高校で(同高校提供)

地元自治会の人出足りず 平日など協力

 大宮武蔵野高校は地震などの発生時に、地域の1103世帯の指定避難所となっている。避難所開設は地元自治会の自主防災会が担うが、地域住民の安否確認や救助活動も行う必要があり、避難所に充てられる人手が足りないことが課題となっている。

 そこで、地域貢献活動に積極的な同校の陸上競技部などが、避難所開設を手伝うことを発案。生徒たちが校内にいる平日の日中などに災害が起きた場合、まとまりが強い部活動のメンバーが中心となり、体育館に避難スペースを設ける準備や、避難者の受け付けなどにあたることを決めた。

 同校では9月から、避難所開設支援に協力する生徒を募り、これまでに陸上競技部や野球部、サッカー部などから約20人が応じている。池田泰校長は「動ける生徒が40人くらいになれば、よりスムーズに初動支援ができる」として、他の部活にも協力を呼びかけていく考えだ。

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避難所開設時の協力を約束する池田泰校長(左)と清水幹雄会長

生徒、保護者、地域住民らで学習会も

 今月8日、同校で防災学習会が開かれ、池田校長が地元の馬宮地区自治会連合会の清水幹雄会長(74)に協力を申し出た。清水会長は「学校の中の様子を知っている生徒たちの協力は非常にありがたい。長年の懸案事項を解決するため、この取り組みを成功させたい」と感謝を口にした。

 学習会では、生徒や保護者、地域住民ら約100人が災害時の避難経路を考えるグループワークも実施。参加者たちは自治会などで分かれ、「マンホールや側溝は水があふれ出す可能性がある」「高齢者らは斜面や段差があると避難に時間がかかる」といった注意点を話し合いながら、地図上に経路を書き込んでいった。

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防災学習会で災害時の避難経路を話し合う生徒や地域住民たち

 グループワークを通じ、生徒たちは年の離れた地域住民とも打ち解けた様子。陸上競技部員で生徒会副会長の利根沢蓮さん(1年)は「自治会のメンバーはとてもいい人たちなので、力になりたいと思った」と笑顔を見せた。同部副部長の関口琉偉(るい)さん(2年)も「災害が起きたらどう動くのかを頭に入れておきたい」と気を引き締めた。

 生徒たちは15日にも、同校で行われたさいたま市主催の避難所開設訓練に初めて参加し、災害時の対応を学んだ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年10月18日

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