15歳の高校生防災士が鎌倉で活躍中 危険箇所や避難訓練をYouTubeで解説

(2021年7月26日付 東京新聞朝刊)

写真 橋本玄さん

 神奈川県鎌倉市の橋本玄(はるか)さん(15)は5月、念願の防災士に合格した。地域の人を集めて防災講習会を開いたり、鎌倉市在住・在勤の防災士のネットワーク「かまくら防災士ネット」の一員として大人に交ざって議論したり、忙しい日々だ。

きっかけは東日本大震災の復興支援

 地元の鎌倉市台で6月末に開いた講習会では、傾斜の多い地域でどのような災害を想定すべきなのかや、避難所に向かうことが危険な場合などに建物の上階に避難する「垂直避難」について、映像を交えて説明。「(近くにある避難所の)山崎小学校には崖崩れで行けなくなる可能性も。自宅のほうが安心できるかもしれません」などと具体的なアドバイスもした。

 防災に関わるきっかけは東日本大震災だ。幼稚園児だった当時の記憶はほとんどないが、復興支援に取り組む父親の等さん(65)に連れられてイベント会場などで「ちょろちょろしているのが楽しかった」。少しずつ手伝うようになり、責任ある役割も任されるように。2019年、福島の人に市内の建長寺で3泊4日過ごしてもらう保養イベント「建長寺で会いましょう」で、引率責任者として市内の鶴岡八幡宮や藤沢市の新江ノ島水族館を案内し、みんなが気持ち良く入れるよう風呂掃除に精を出した。「玄くんが面倒みてくれて良かった、とおじいちゃんから手紙がきてうれしかった。ほめられて育つタイプなんです」と笑う。

同世代だからできる防災教育がある

 今年2月には鎌倉市内の高校3年中里海人さん(18)と、映像を通して防災を伝える学生団体「玄海」を設立。市内の危険箇所を取材したり、地震発生から津波到達が予想される時間までに安全な場所まで逃げられるか訓練したりする様子を撮影した動画をYouTubeで公開している。

 幼稚園のころからずっと夢は消防士だった。しかし、防災に夢中になるほど「法律にしばられて必要だと思うことができない」と限界を感じるようになり、「支援が必要なところに支援をする人」に広がった。これから特に力を入れたいのが防災教育だ。「先生が話すのと違って、自分が同世代の目線で話せばより身近に感じてくれるはず。防災は本当に必要なものだよ、と伝えたい」。すでに、自分が通う高校の周辺の危険箇所を調べ始めている。

防災士とは

NPO法人日本防災士機構が認定する民間資格。災害発生の仕組みや避難所の運営方法などを学び、試験に合格した上で救急救命講習を受けると取得できる。6月末時点で全国に21万2030人。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年7月26日

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