あの日、名前も知らない彼女に救われた〈南家真紀子 MIRACLE TWINS〉

 彼女はきっと、私の孤独を察してくれたのでしょう。「双子の母である」という共通点だけで、私たちは一瞬でわかり合えたのでした。

 ほんの数年先をいく彼女の双子の娘たち。その数年は私にとって果てしなく遠く、蜃気楼(しんきろう)のようだったけれど、彼女に出会って初めて「息子たちもいつかあんなふうに大きくなるのかも、自分でしっかり歩くのかも、買い物を手伝ってくれるのかも…」と、希望のイメージを持つことができたのです。

 子育てがつらいとき、彼女のことを思い出して乗り越えました。名前も知らないその女性に、今でも心から感謝しています。そして、いつか私も彼女のように、誰かに声をかける側の存在になろうって心に決めたのでした。

◇紙面に掲載された元の作品

※第3金曜日掲載

南家真紀子(なんけ・まきこ)

 アニメーションアーティスト。三重県出身。武蔵野美術大学卒業後、アニメ制作会社勤務を経てフリーに。NHK・Eテレの子ども向け番組「いないいないばあっ!」のアニメコーナーなどを手掛ける。12歳の双子男児と6歳男児を子育て中。作品や活動は公式サイトで紹介している。

コメント

  • いつもお母さんは大変なんです。ちょっと周りが気付く事が出てたら少子化問題も解決出来るではないでしょうか?「無理しないでね!」と声を掛けるのも優しさですよ。
     
  • 一卵性双生児女児、7歳です。私も同じような経験があります。通勤帰りに、一人をベビーカーに乗せ、一人をおんぶして、電車の中でご夫婦に話しかけられました。暖かい言葉をかけていただきました。お子さんはおいく