小中学校の教員は「保護者やいじめ対応」に疲弊している 教員支援の専門家が必要 アンケート実施のNPOが訴え
16.8%が「過労死ライン」超える残業
アンケートは、森田さんが全国の学校現場を訪れる中で、いじめなどが解決されない背景に教員の労働環境が影響していると感じ、本音を聞こうと実施。6~7月、10自治体の教育委員会と各地の30校に依頼、有効回答は1522人だった。
1カ月当たりの残業時間は、8割弱が「40時間以上」とし、16.8%は過労死ラインとされる「80時間以上」と回答。長時間労働が常態化する中、どの業務の作業時間を減らしたいか尋ねると、トップは「事務」で、4番目に「保護者・PTA対応」が入った。
休憩時間がない 保護者から無理難題
負担・ストレスを感じる業務を聞いた質問では、「事務」に次いで「保護者・PTA対応」が2番目に浮上。さらに、3番目は「不登校・いじめ等の対応」で、いずれも4割を超えた。
自由記述では、「休憩時間は全くない」「教員の仕事を続けてよいのか迷う」と多忙を訴える声のほか、「保護者に無理難題な要求をされる」「法律・精神的なサポートも必要なので専門家にやってほしい」など、保護者やいじめへの対応の大変さや支援を求める意見も多く書き込まれた。
「先生なんだから」相談できない現状
森田さんによると、いじめでこじれるケースの中には、学校側にも落ち度はあるものの、保護者の過大な要求で解決が妨げられ、教員が心身を壊すことも少なくないという。
西日本のある中学校では、「部活で子どもがいじめられた」と主張する保護者に担任教師が連日怒鳴られ、休職に追い込まれた。学校はいじめを確認する調査をしたいと申し出ていたが、両親は「必要ない」と応じず、今も子どもは不登校のままという。
森田さんは今年4~9月までに教職員から270件の相談電話を受けた。「同僚も忙しくて相談しづらく、一般の相談窓口では『先生なんだからしっかりしなさい』と言われる。孤立し、泣き出す先生もいる。子どもたちのためにも、文科省には先生の労働環境を整え、悩みを安心して話せる外部の窓口をつくってほしい」と話している。
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