卒業イベントは「逃走中」! こんなPTA改革ならうまくいく 保護者は強制参加なし、得意なことをできるときに

須藤恵里 (2023年4月7日付 東京新聞朝刊)

第三寺島小学校のPTAが卒業イベントとして企画した巨大鬼ごっこ当日、打ち合わせをする保護者ら=3月25日、東京都墨田区で(天谷友紀さん提供)

 子どもたちの学校生活を支えるPTA活動を巡り、強制参加を見直す動きが広がっている。東京都墨田区立第三寺島小学校のPTAからも、東京新聞「ニュースあなた発」に情報が寄せられた。PTA会長として改革に取り組んだ天谷友紀(あまやとものり)さん(48)に、強制しなくても運営できる秘訣(ひけつ)を聞いた。

楽しければ保護者も参加する 

 3月25日、第三寺島小では、卒業イベントとして、人気テレビ番組「逃走中」を模した巨大鬼ごっこが校内で開催された。

 運営を担ったのは、自ら「やりたい」と手を挙げた約20人の保護者たち。コロナ禍で我慢を強いられてきた子どもたちに、最後だけは思い切り楽しんでもらおうと企画した。

 鬼役の「ハンター」に扮したり、鬼に捕まった児童の牢獄番をしたりした保護者たちは「子どもたちの笑顔が見られてうれしかった」「いい思い出になった」と満足そう。天谷さんは「強制でなくても、楽しいと思えば参加してもらえるんです」と語る。

クジ引きやジャンケンはやめた

 PTA活動への強制参加を見直したのは、天谷さんが会長だった2年前。クジ引きやジャンケンで各学年から強制的に選出していた「学年委員」をやめ、イベントごとにボランティアを募るようにした。役員も公募制に切り替えた。

 周囲は「義務じゃないと保護者は動かない」と懐疑的だった。天谷さんも「強制をやめて誰も手を挙げてくれなかったらどうしようと、最初は不安だった」と振り返る。

PTAの取り組みについて語る前会長の天谷さん(右)と現会長の吉野美恵さん

 それでも改革に踏み切ったのは発想の転換だった。「誰もやりたがらない活動はやらない」と割り切った。イヤイヤだったPTA活動をワクワクに変える。「得意なことだけ、できるときだけの参加でOK」と強調することで、保護者が気負わず楽しみながら参加してくれるようになった。

 幸い、役員のなり手がいないという事態に陥ったことはない。天谷さんは「保護者だけで完結しようとしない。誰も手を挙げなくても子どもたちに必要な活動なら、外部の仕組みを使ってもいい」と話す。

効率化 打ち合わせはLINEで

 2022年度からはPTA会員も、実質強制だった「自動加入」から任意にした。それでも加入率はほとんど変わっていない。

 保護者のやる気に委ねたことで「むしろ活動がやりやすくなった」と明かす。前例のやり方にとらわれず、運営を効率化。60人ほどが夕食時に集まっていた会合をやめ、LINEを使って自宅にいながら打ち合わせができるようにした。広報誌は年3回発行から1回に減らした。

 会長を退いた天谷さんは、今も名誉会員として活動に関わる。「PTAは子どもたちのためにあるのに、やらされていると嫌々参加するのなら本末転倒。今後も保護者自身が楽しめるPTA活動にしていきたい」

コメント

  • 教員にも保護者にも負担になっているのに何故PTAを存続させたいのか?新入生説明の時に登校班に子どもは全員入る決まりがあり、登校班編成を理由にPTA加入届けを説明会の時間に強制提出でした。任意団体なのに
    匿名希望 無回答 無回答 
  • そもそもPTAを廃止する選択肢はないのか?喜ぶ人の方が多いと思う。少なくとも教員は全員賛成だ。
    教師のバント 男性 50代