卒業イベントは「逃走中」! こんなPTA改革ならうまくいく 保護者は強制参加なし、得意なことをできるときに
楽しければ保護者も参加する
3月25日、第三寺島小では、卒業イベントとして、人気テレビ番組「逃走中」を模した巨大鬼ごっこが校内で開催された。
運営を担ったのは、自ら「やりたい」と手を挙げた約20人の保護者たち。コロナ禍で我慢を強いられてきた子どもたちに、最後だけは思い切り楽しんでもらおうと企画した。
鬼役の「ハンター」に扮したり、鬼に捕まった児童の牢獄番をしたりした保護者たちは「子どもたちの笑顔が見られてうれしかった」「いい思い出になった」と満足そう。天谷さんは「強制でなくても、楽しいと思えば参加してもらえるんです」と語る。
クジ引きやジャンケンはやめた
PTA活動への強制参加を見直したのは、天谷さんが会長だった2年前。クジ引きやジャンケンで各学年から強制的に選出していた「学年委員」をやめ、イベントごとにボランティアを募るようにした。役員も公募制に切り替えた。
周囲は「義務じゃないと保護者は動かない」と懐疑的だった。天谷さんも「強制をやめて誰も手を挙げてくれなかったらどうしようと、最初は不安だった」と振り返る。
それでも改革に踏み切ったのは発想の転換だった。「誰もやりたがらない活動はやらない」と割り切った。イヤイヤだったPTA活動をワクワクに変える。「得意なことだけ、できるときだけの参加でOK」と強調することで、保護者が気負わず楽しみながら参加してくれるようになった。
幸い、役員のなり手がいないという事態に陥ったことはない。天谷さんは「保護者だけで完結しようとしない。誰も手を挙げなくても子どもたちに必要な活動なら、外部の仕組みを使ってもいい」と話す。
効率化 打ち合わせはLINEで
2022年度からはPTA会員も、実質強制だった「自動加入」から任意にした。それでも加入率はほとんど変わっていない。
保護者のやる気に委ねたことで「むしろ活動がやりやすくなった」と明かす。前例のやり方にとらわれず、運営を効率化。60人ほどが夕食時に集まっていた会合をやめ、LINEを使って自宅にいながら打ち合わせができるようにした。広報誌は年3回発行から1回に減らした。
会長を退いた天谷さんは、今も名誉会員として活動に関わる。「PTAは子どもたちのためにあるのに、やらされていると嫌々参加するのなら本末転倒。今後も保護者自身が楽しめるPTA活動にしていきたい」
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