PTA活動をプロに外注して負担軽減  役員経験者がマッチングサイト開設 参加しやすくなり、質も向上

(2021年8月13日付 東京新聞朝刊)

考えようPTA

 負担の重さが保護者に敬遠されがちなPTA活動。仕事や家庭の事情で多忙な保護者が多い今、これまで自ら行ってきた業務を外注する動きが出始めた。プロに任せることで費用は生じるが、労力や時間といった負担から解放され、質の向上にもつながると好評だという。

安全マップはデザイン会社に 運動会の巡回は警備会社に

 兵庫県姫路市立荒川小PTAは本年度、学区内の「こども安全マップ」作製を横浜市のデザイン会社と東京都町田市の印刷会社に発注した。これまではソフトウエアを使える役員2人が、仕事の合間を縫って無償で作っていたが、見やすくまとめられないなど苦労していた。

 完成したマップはプロのデザインで、危険な交差点や不審者の出没場所が一目瞭然。A4判のクリアファイル1200枚に印刷し、全校児童に配った。費用は初年度のデザイン制作費4万円と印刷費6万円。同PTA会長の三木貞徳さん(44)は「PTA会費全体からすると大きな額ではなく、通常の予算内で賄えた。時間と労力、毎年のデザイン変更料を考えたら頼んだ方が安いと判断した。これなら、誰が役員になっても心配ない。仕上がりもよく、社会の地図記号の授業でも活用してもらえた」と喜ぶ。

図解 PTA活動の業務を外注した例

 役員らが交代で担っていた運動会の巡回を警備会社に委託したPTAもある。警備員2人に任せ、費用は1日6万円ほど。「子どもの競技をゆっくり見られない」「顔見知りの保護者に、観覧席以外からの撮影や駐輪の注意をしづらい」といった悩みが解消され、防犯効果も上がった。

「PTA’S」外注先は12業種の30社 全国129のPTAが登録

 こうした業務の外注先を探しているPTAと、サービスを提供する企業をつなぐのがマッチングサイト「PTA’S(ピータス)」だ。昨年11月にサイトを立ち上げた増島佐和子さん(50)=写真、川崎市=は、公立小のPTA副会長経験者。7割超の保護者がPTAに「負担が大きい・面倒」とのイメージを持っていると報道で知り、1人で起業した。「副会長を2年務める中で、『こうすれば効率的なのに』と何度も感じた。誰かのやる気に頼らなくても組織が回る、持続可能なPTAにしたい」と話す。

 ピータスは、PTAが外注したい業種カテゴリーから対応可能な企業を探し、直接連絡を取って交渉する仕組みだ。「原則、会社組織で創業3年以上」など独自の審査基準を満たした企業のみ掲載されており、現在、警備やIT導入支援、印刷など12業種を提供する30社が登録。PTAは無料で登録していつでも活用でき、現在は全国129のPTAが登録する。

各種届出のひな型も提供 「母親の無償の労力」から脱却を

 サイトでは、入会届・非入会届・退会届のひな型を提供し、PTAオンライン化などの「おたすけ研修」も随時開催。「PTA予算で学校の備品を買うのはアリ?」「会費徴収を学校に依頼するには業務委託契約が要るの?」といった疑問に、弁護士ら専門家に聞いた上で答えるコーナーもある。

 増島さんは「ピータスの目標は、子どもの学校生活に携わりたい親が、負担を感じずに参加できるPTAにすること。その手助けをしたい」と強調する。課題は「長年、主に母親たちの無償の労力で回してきた業務を、有料で外注することへの拒否感を払拭(ふっしょく)すること」。冷凍食品や家事サービスを利用することへの抵抗感と似ているという。「保護者でなくてもよいことは外注して質の安定化を図り、前向きに参加できるPTAにしてほしい」と願う。

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  • ペペ says:

    入会するかしないか選べない時点で強制、違法だと国が示してほしいですね。
    せめて不参加をPTA会費のみ参加(少し高い)
    活動参加(安い)
    などにして つどサポート要員を募るみたいな感じなら 私は強制感がなくて参加しようという気持ちになります。
    何もしたくないという親が多いのもわかるし その中で 専業主婦だからとか PTAのために稼いでるわけでもない人の代わりに無償で時間取られるのもおかしいし。
    激務な上にPTAに有給使わされるのもおかしい。
    あくまで任意、選ぶ自由がないPTAはもうなくなって良い。

    ペペ 女性 40代
  • 匿名 says:

    現在、私たちのPTA協議会では、単位PTAみなで共有できるシステムの導入をはじめています。それぞれの学校だけで導入するとコストが高いものでも、複数の学校で共有すると非常に安く済ませることができます。さらに、先行例に学ぶこともできます。
    昔はこの協議会の方々がふんぞり返っているイメージがあったんですが、今は全然違っています。
    (ほかの地域はどうなのかしら?)
    なお、単位PTAでは、PTAのOBの方々が運動会の警備をしてくださっています。おかげで、みんな子供たちの活躍を落ち着いてみることができます。私もPTA OBになったら、お世話になった分、お返しをしようと思っています。

     男性 40代
  • 匿名 says:

    家庭数の多い学校でしたら外注もできるのですね。
    家庭数が100にもならないPTAで予算はギリギリです。
    役員も1人の子供に対して卒業までに1回はお願いします。みたいな感じです。

    会費を増やして全家庭の負担を増やすのもありなのかな?
    運動会で子供の競技が見れない可能性もあるので、駐車場係を数年前から警備員さんにお願いするようにはなりました。

    役員も外注できたら良いのかな?
    これだとPTAでは無くなってしまいますけどね(笑)

      
  • 匿名 says:

    8年前に小学校のPTA副会長をやったとき、正社員だったこともあり、役員との連絡はメールが主でした。
    学校の教頭先生とも、文書をクラウドで共有したり、ITに強いメンバーを中心に活動してましたが、役員さんはパソコン使えないと非常に苦労してましたね。
    働く母親も多くなり、作業負担の削減、平準化を進めたり、運動会の警備も初めて警備会社にお願いしたりしましたね。

    PTAって前年通り進める風潮がありますが、近年は状況の変化に合わせて、柔軟に変えていくことが求められていると思います。
    学校のPTAの役員さんは、大変だと思いますが頑張って欲しいですね。
    ピータスの活用が進むといいですね。

      
  • 匿名 says:

    すいませんけど、「PTAの活動は絶対に必要」ていう前提で記事書いてますよね。

    ただの任意団体の活動を「絶対に必要」とし、保護者ができないなら「相応のお金を払ってでも外注しなくてはならない」って、狂ってません?

    必要なのは「活動の外注」じゃなくて、「任意入会の徹底」じゃないでしょうか。自発的に参加したのなら楽しくできるし、自腹を切ったって惜しくないでしょ。

    価値観の近い仲間とあれこれ話し合いながら活動するって、楽しいし充実するだけだと思います。

      

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