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子どもも哲学しよう!「正解」がない問いもある 対話と思考力はぐくむ「哲学教室」

(2019年5月10日付 東京新聞朝刊)
 子ども向けの習い事として「哲学教室」の案内を見かけるようになった。難解で、実社会であまり役に立たない学問、と敬遠されることもある哲学。子どもたちが接することに、どんな良さがあるのか探った。
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「対話」を通して、人の話を聞き、意見を出し合うことを学ぶ子どもたち=千葉県柏市で

聞く→待つ→話す 思考力の素地をつくる

 4月の土曜日、千葉県柏市の書店の一角で開かれた「こども哲学教室ソフィー」を見学した。この日が本年度のコースの初日。未就学児クラスに入った5歳児の4人に、講師の大学院生、盛岡千帆さん(23)がまず見せたのは「コミュニティーボール」と呼ばれる毛糸の玉だ。「ボールを持っている人が話すルール。持っていない人は、話を聞きましょう」と促すと、子どもたちはボールを順番に手渡しながら教室内で呼ばれたい名前や、好きな食べ物などについて話していった。

 楽しくおしゃべりしているだけにも見えるが、この日の活動は、意見が違っても安心して話せるコミュニティーづくりが狙い。「哲学は1人では進められない。対話によって誰かの価値観にぶつかり、自分の考えを更新していくこと」と盛岡さん。ルールは、人が話している時は聞く▽相手が考えている時は待つ▽自分の考えていることを言う▽人の嫌がることをしない▽何も言わなくてもいい-の五つ。1年かけて思考力の素地をつくるという。

娘を通わせる母「英会話以前に対話力を」

 娘を教室に入れた柏市の母親(45)は、メーカーの国際部門で勤務し、海外とのやりとりが多い。「英会話以前に、他人の意見を受け止め、自分の意見を言えることが必要」と考え、哲学教室を選んだという。

 学校教育でも、知識を詰め込むだけでなく、知識を活用する思考力や判断力、表現力の必要性が叫ばれている。2020年度からの新しい学習指導要領では、周囲と対話しながら主体的に学ぶ「アクティブラーニング」も柱にすえられた。

 とはいえ、学校ではまだ「正解」に導く指導が主で、子どもたちもつい先生に褒められようと意識して発言しがちだ。1学級の人数も多く、対話に十分な時間がとれないことも。スタッフの一人で東京大大学院で保育・幼児教育学を研究する天野美和子さん(50)は「学校の授業ではすくい上げられないような言葉でも丁寧に拾い、自由な発想が膨らむよう声かけしている」と教室の良さを話す。

すべての学問の根本 大切なのは「なぜ」

 子どもたちにとって、世界は疑問だらけ。家庭でも、子どもの「なぜ」に親が耳を傾け、受け止めて「哲学対話」をしてみよう。天野さんは「親はネットで答えを調べなくてもいい。『何でだろうね』と一緒に考えたり、想像を膨らませたりすることが対話の一歩」と勧める。

 教室を主宰するNPO法人こども哲学・おとな哲学アーダコーダ事務局の角田将太郎さん(24)は「哲学は根源的な問いを出す学問で、数学や物理、美術などはその問いに答えるためにできた学問。すべての学問の根本には哲学がある」と強調。「答えのある問題は人工知能(AI)が解く時代。答え方を身に付けるのではなく、問いを出す力が求められる時代になる」と話している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年5月10日