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リビング学習 「親と近すぎ」に注意! 過干渉は慎むべし

寺西雅広 (2016年2月26日付 東京新聞朝刊)

 家族がいる居間で勉強する子どもが増えている。リビング学習と呼ばれ、子どもが勉強に集中しやすいと数年前から急速に広がったが、親の関わり方次第で逆効果になるケースも。新年度を前に、専門家に注意点を聞いた。

メリットがデメリットに「もろ刃の剣です」

 リビング学習が注目されたのは2010年ごろから。学習効果が高いとして教育雑誌で特集され、人気が広まった。通信教育大手ベネッセコーポレーションが13年に小学1、2年生のいる全国の保護者200人を対象に実施したアンケートでは、約8割がリビングで勉強しているとの結果が出た。

 静岡県内の元小学校教諭で、教育評論家の親野智可等(おやのちから)さん(57)によると、リビング学習の一番のメリットは子どもが安心感を得られること。「低学年では、風が吹いただけでお化けがいると不安になる子もいる」。その点、家族がそばにいれば落ち着いて集中し、分からないところも質問できる。親にとっても、子どもがちゃんと勉強しているか見守れる利点がある。

 ところが、リビング学習はメリットがそのままデメリットにつながりやすいという。「もろ刃の剣です」と親野さん。

 子どもの様子が手に取るように分かるため、親は過干渉になりがちだ。「何でできないの」などと否定的な言葉をかけると、「自己肯定感の欠如、親子関係の悪化につながる。そもそも子どもが勉強を嫌いになる」と強調する。

体に合った高さの机、照明も気をつけて 

 親野さんが親に求めるのは言葉の工夫。「やりなさいと命令するだけでは、子どもは動きません」。なかなか勉強を始めようとしない子には「最初の1問だけやろうか」「漢字1文字だけ書こう」などと、取り掛かるハードルを低くするのも手だ。

 注意点はほかにも。勉強の際にダイニングテーブルを使う家庭も多いが、高さが合わないと姿勢が悪くなって集中力がそがれる。リビングの照明は暗めなので、手元を照らすスタンドもあった方が良い。弟や妹がいて気が散る場合はパーテーションで区切り、勉強中は家族がテレビ視聴を我慢するなどの協力も必要だ。

 中学生ぐらいになると、リビング学習をやめて自分の部屋で勉強する子が増えてくるという。

 これまでに約640軒を家庭訪問した親野さん。親の過干渉や否定的な言葉で、親子関係が悪化する例を多く見てきたという。「リビング学習は触れ合う時間が長い分、子どもを否定してしまう時間も長くなる。接し方を見直して」と呼び掛ける。

コンパクトな学習机が普及 新入学でも「買わない」傾向

 リビング学習の人気に伴って、居間に置けるコンパクトな学習机が普及している。家具メーカーのカリモク(愛知県東浦町)は、2007年から、一般的な学習机より一回り小さいものを発売。「今では机の販売台数のうち約4割を占める」(広報部)という。昨年はさらに小さめの机も発売した。

 同社は昨年、同社のメールマガジン会員を対象にアンケートを実施。回答した約470人のうち約9割が「子どもにリビング学習をさせたい」と回答した。「最近は新入学生でも一般の学習机を買わない傾向がある。少子化の影響で子どもへの関心が高いのも、リビング学習が定着した一因では」とみている。