コロナ第7波で子どもの感染増 症状の特徴は? 新学期に必要な対策は?

藤原啓嗣、植木創太 (2022年8月26日付 東京新聞朝刊)
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段ボール製の仕切りに囲まれ、黙々と弁当を食べる児童=名古屋市南区の菊住小で

 新型コロナウイルスの「第7波」の感染拡大が収まらない中、新学期が始まる。オミクロン株以降の感染は子どもが目立ち、重症化するケースも増加。夏の間、子どもを預かってきた現場からは「これ以上どんな感染対策をすればいいのか」と戸惑う声も上がるが、専門家は「従来の対策を徹底して子どもを守って」「症状が重いと思ったら素早く受診を」と訴える。

個別に食事、会話せず 「管理には限界」

 「いただきます」。8月中旬の正午ごろ、名古屋市南区の菊住小。学校施設で児童を預かる「トワイライトルーム」では、1人用のブースで約40人が弁当を食べ始めた。おにぎりやハンバーグを黙々と頬張り、食べ終わった子どもは読書。会話を避け、飛沫(ひまつ)を飛ばさないためだ。

 段ボール製の仕切りは、5月末から設置。運営指導者の末田重信さん(67)は「感染対策していると一目で分かると、子どもたちも気を配り、1カ所に固まって遊ぶ機会が減る」と話す。

 夏休み中、一部の窓を20cmほど開け、サーキュレーター(送風機)も稼働。遊び時間の子どもの行動は制限しないが、「鼻まで隠すようにマスクをして」とこまめに注意する。毎朝の体調チェックや手指消毒など基本の感染対策を徹底し、屋外での運動では熱中症予防でマスクを外させた。

 「明日もここに来たいと思ってもらえるよう、感染対策と健やかな子どもの成育の折り合いを探っている」と末田さん。新学期からは70人ほどが利用する見込みで、「クラスターが出ないか心配でドキドキしている。感染力が強く、自分たちの管理だけでは限界がある…」とも語った。

医師「重症化しにくい、とは言えない」

 国立成育医療研究センター感染症科医長の庄司健介さん(43)によると、感染症は人の動きが活発になるほど流行しやすい。夏休みに入り、国内の感染者数は10代が減り、10歳未満と20代の増加も鈍くなった。

グラフ 年代別の新型コロナ感染者数の推移(週ごと)

 しかし、行動制限のないお盆休みをへて新学期が始まり、子どもが交流すれば感染リスクは高まる。

 流行がオミクロン株へ置き換わった年明け以降は、子どもの感染者数も急増し、脳炎や心筋炎の報告も増えた。「『子どもは重症化しにくいし、基礎疾患がなければ大丈夫』と言える状況ではない」と警戒する。

12歳以下で発熱や熱性けいれんが増加

 同センターなどが、デルタ株流行期(昨年8~12月)とオミクロン株流行期(今年1~3月)に感染、入院した子ども計847人を調べたところ、オミクロン期では2~12歳で発熱やけいれん、13歳以上でのどの痛みが増えた。犬の鳴き声のようなかん高いせきが現れる「クループ症候群」や、熱性けいれんも目立ってきたといい、「ウイルスの変異で子どもの症状の特徴も変わってきている」と庄司さん。

表 新型コロナの小児入院患者に現れた症状の割合(%)

 自宅療養の場合、意識がはっきりしない、食欲低下、水分がとれない、顔色が悪い、息苦しそう、嘔吐(おうと)を繰り返すなどの変化があれば医療機関へ。「けいれんの時は救急車を呼んでも構わないのですぐ受診を」

 ただ、普段の生活は従来通り、3密回避や屋内のマスク着用などを続けるしかない。庄司さんは「成育を考えれば、これ以上子どもに我慢を求めることは難しい。いかに大人が感染させないよう意識を高められるか。ワクチン接種も検討してほしい」と呼びかけた。

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