150人の障害児と150カ国の大使館を訪問 山田ベンツさん「日本を”心のバリアフリー”先進国に」

杉戸祐子 (2020年5月11日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 ジャパンバリアフリープロジェクト主宰の山田ベンツさん(52)は、障害のある150人の子どもたちとその家族が、東京都内にある150カ国の大使館を訪問するプロジェクトを手掛ける。2018年に企画を立ち上げ、2019年2月のスウェーデン大使館を皮切りに、これまで約20カ国の大使館訪問を実現した。
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山田ベンツさん=横浜市南区で

小児専門病院で出会った、病気と闘う子どもたち

 きっかけは2011年に生まれた長男(9つ)に先天性の心臓疾患があったこと。入院先の小児専門病院の新生児集中治療室(NICU)に毎日面会に通い、さまざまな病気と闘う子どもの様子を目の当たりにする中で、障害について考えた。

 「年を取れば誰もが若い頃のように歩けなくなったり、目が見えにくくなったり、耳が聞こえづらくなったりする。ままならない日が来ることを皆が少しでも実感できたら、障害者への態度も変わるのかな」

当たり前に一緒にいられたら、垣根はなくなる

 自身はスウェーデン人の父と日本人の母から生まれたハーフ。学校などで「ガイジン」と言われたことはあるが、差別的な扱いを受けた記憶はない。「見た目は多少違っても、当たり前に一緒にいたから、周りも普通に受け入れていた」。その体験を今の社会の障害者との関わり方に重ねる。「身近にいないから違ったものとして捉える。知る機会を増やせたら、垣根はなくなるんじゃないか」

 1997年から横浜市南区でカフェ・バー「むつかわバール トミーズカフェ」を経営。映像制作などを手掛ける有限会社「ボディーアンドブレイン」も運営しながら、障害児が社会で活躍できる機会を模索する中、東京五輪・パラリンピックの招致が決まった。

世界に物語を発信 コロナが落ち着いたら必ず

 「世界中から東京に人が来るチャンスに合わせ、各国の全権を代表する大使館を訪ね、障害のある子どもたちの物語を世界に発信したい」。企画書を手に、各国大使館に飛び込みで交渉を重ね、スウェーデンのほかミャンマーやパナマ、オーストラリア、アフリカのマラウイなどの大使館訪問を実現してきた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックは延期になり、大使館訪問もできない状態だが、「状況が落ち着いたら必ず再開する」と揺るがない。今後も新たな訪問先を開拓しながら活動を続ける。「社会全体を成熟させ、日本を心のバリアフリーの先進国にしたい」 

2020ジャパンバリアフリープロジェクト

 東京五輪・パラリンピックに合わせ、障害のある150人の子どもたちと家族が150カ国の大使館を訪問しようと始まった。2024年の達成が目標。事前にそれぞれの歩みを動画で撮影し、訪問時に大使と見ながら交流する。パラリンピック種目のボッチャを一緒に楽しむこともある。動画をまとめたドキュメンタリー映画も制作予定。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月11日

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