4月に誕生「こども家庭庁」って何するところ? 子どもの声はどうやって聞いてくれるの? 10の質問に答えます
「こどもまんなか社会」への司令塔
Q1 こども家庭庁はなぜできたの?
A 貧困やいじめ、虐待など子どもに関わる課題は多岐にわたります。こうした課題に一元的に取り組む組織が必要だ、という声が長らくありました。
きっかけは、自民党有志議員から提言を受けた菅義偉首相(当時)が2021年4月に、自民党で具体的な検討を進めるよう指示したことです。その年の12月には「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」を閣議決定し、常に子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益を第一に考え、子どもに関する取り組み・政策を社会の真ん中に据える「こどもまんなか社会」を目指す司令塔として、創設することになりました。
Q2 どこにあるの?
A 東京都千代田区霞が関にある霞が関ビルディングに入っています。
Q3 誰がまとめるの?
A 首相直属の組織で、内閣府の外局として設置され、専任の特命担当大臣と長官が率います。
Q4 誰が働くの?
A 厚生労働省や内閣府で行っていた事務をこども家庭庁に持ってくるので、これまで担当していた人たちがスライドしてくるほか、それ以外の役所も協力します。また、民間の人材登用や地方自治体との人事交流も行います。
内部部局における発足時の定員は350人体制で、現在の関連部局の定員の約1.7倍の規模になります。民間からの登用人材は1割の予定です。常勤の職員数(2021年7月1日時点)が3万2000人を超えていた厚労省、2100人を超えていた文部科学省と比べると、小規模な組織だということが分かります。
複数省庁で対応が遅れがちだった
Q5 どんなことを担当するの?
A 厚労省が行っていた保育や母子保健、児童虐待対策や、内閣府が行ってきた子ども・子育て支援、少子化対策などを担い、子ども政策の司令塔機能をこども家庭庁に一本化します。
これまでは、例えば児童虐待問題を、厚労省、文科省、法務省などの省庁が担当するなど、複数省庁にまたがる事務がありましたが、別々に仕事をする体制では無駄も多く、対応の遅れが課題となっていました。
子ども・若者からの意見の聞き取りといった新たな政策課題や、各省庁間のすき間事案にも積極的に対応していきます。
Q6 こども家庭庁に移らない子ども政策もあるの? それはなぜ?
A 幼稚園や小中学校は文科省の担当のままです。幼児教育と保育の「幼保一元化」は長年の懸案でしたが、影響力を持つ議員などから「教育振興は一貫して文科省が担うべきだ」との声が高まり、実現しませんでした。
教育をはじめ、雇用の確保、環境整備、福祉の増進、保健の向上などの担務も移管せず、関係府省で引き続き取り組みます。ただ、こども家庭庁は勧告権を持ち、子ども施策を担当する他省庁で不十分な対応があった場合には、改めるよう求めることができます。
ネットを通じて子どもの意見を聞く
Q7 一般の人にとって何か変わるの? わたしたち、僕たちに関係ある?
A 身近な自治体の窓口や手続き方法などに変更があるかどうかは、こども家庭庁としては把握していません。
Q8 「家庭」がついているのはなぜ?
A 子どもの健やかな成長にとって、家庭の子育てをしっかり支えることが子どもの幸せにつながる、との考え方に立っています。
当初は「こども庁」という名称が想定されていましたが、自民党内の議論で、子どもは家庭で育てるといった「伝統的家族観」を重視する意見があがり、「家庭」が加わりました。
Q9 子どもの声を聞いてくれると聞きました。どうやって聞いてくれるの?
A 子どもや若者から意見を聞く方法として、インターネットを活用したアンケートや、行政職員が直接会って意見を聞くこと、審議会などの場に子どもや若者が参画することなど、さまざまな手法を組み合わせ、多様な意見を聞くように努めます。
こども家庭庁では、小学校1年生から20代までを対象に、子どもや若者に関するさまざまなテーマについて意見を聞く「こども若者★いけんぷらす」のメンバー登録を始めました。
こども家庭庁のホームページから氏名やメールアドレスなどを入力して登録します。政府側が子ども・若者の意見を聞きたいテーマを示し、答えたい人がアンケートに回答したり、意見交換の場「いけんひろば」に参加して意見を伝えたりできる仕組みです。子ども・若者側からテーマを提案することもできます。実際に意見を募り始めるのは今夏になる見通しです。
Q10 子どもの声は政策に反映されるようになるの?
A 例えば、今後策定していく「こども大綱」について意見を聞くことなどを想定しています。政府側は、各テーマに寄せられた意見がどう反映されたかなどを分かりやすくフィードバックします。
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