これでいいの?保育指数のルール 有休取れない非常勤、子どもの看病でポイント失うなんて…

福岡範行

 「今の日本って、子育て中の再就職に厳しいよね」。今年に入ってから、ため息交じりの妻のつぶやきを幾度となく聞いてきた。特に秋になり、長男(2つ)の来春の認可保育所の申し込み時期を迎え、ため息は増えていった。

 わが家が暮らす自治体の認可保育所の入所選考では、前年の9~11月の勤務実績が判断の基準となる。最大の心配は、9月に妻が有給休暇の権利を持っていなかったことだった。

 僕の転勤に付き合って2014年7月に妻は正職員として働いていた職場を退職した。その後、転居先の石川県で非常勤の仕事を1年余りし、出産を機に退職。再度の転勤で東京に移住した。

 今年4月に病院の非常勤職員として再就職したが、有休が取れるようになるのは就職から半年後の10月から。9月に長男の看病などで休めば、勤務実績となる有給とは違って、その日は「欠勤」扱いとなり、勤務実績上、「働いていない」と判断されてしまう。入所の判断基準となる保育の必要性が「保育指数」として点数化され、勤務時間の長さが細かく点数分けされている現状では、看病による休みが勤務実績になるかどうかは大問題だ。

 地元の待機児童の状況を調べ、入所できた子どもの点数をみると、確実に認可保育所に入るには、両親ともフルタイムで働いていることは必須。「9月は休めても1日だけだね」。「分かった。それ以外は何とか僕が休む」。そう宣言はしたが、警視庁の捜査2課などを1人で担当する僕も決して、休みやすいわけではない。祖父母も愛知にいて、すぐには頼れない。長男が健康でいることを祈るしかなかった。

 だが、やはり、長男は熱を出した。ちょうど僕が北海道地震の現地取材の出張から戻ってきたころ、40度近い熱で3日間、通っている認可外の保育所を休んだ。出張の影響で、普段の担当業務は1週間ほど何もできていなかったが、看病が最優先。妻には1日だけお願いし、残りは僕が有休を取った。

 「正社員の育休明けなら、9月も有休があるのにね」。妻は、欠勤の理由が子どもの看病という点を考慮してもらえるかどうかを地元の区役所に尋ねた。職員からは「有休を活用してくださいとしか言えなくて…」という回答だったという。

 非常勤のために職場の時短勤務の権利もなく、実際に働く以外に勤務実績を積む手段はない。妻の表情は、休めないプレッシャーで硬くなった。夫としては「僕の仕事は何とかなるから」と言うほかなかった。

 幸運なことに、長男は認可保育所に年度途中で転園できることになった。ただ、わが家以上に厳しい状況にある人たちもいるだろうと思うと、心の底からは喜べない。

 家庭の事情で退職をすることも、再就職から一定期間、有休などの権利がないこともよくある話だ。都市部でいまだ待機児童が解消されない中、保育の必要性を点数化する上で、一定のルールが必要なことは理解できる。

 だが、子どもの看病のために休んだことでフルタイムの勤務実績にならなかった場合などに救済策は設けられないだろうか。福利厚生の恩恵が少ない、弱い立場の人ほどすくい上げられる、そんな保育指数のルールが増えてほしいと願っている。

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  • 匿名 says:

    次女の認可保育園選考の際、長女の感染症の看病や区立小学校の入学説明会でやむを得ず会社を休み、同じく減点対象となりました。同じ行政が開催する小学校の説明会に行くことも許されないのかと思うと、やり場のない気持ちになりました。行政の担当窓口に問い合わせしたくても、窓口の対応時間が勤務時間と重なり、これ以上職場を休むことができず、電話すらも難しい状況でした。今でも同じような思いを抱えていらっしゃるご家庭があるかと思うと、大変心苦しく感じます。

      

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