記者も保活してみた 厳しさ実感、女性ばかり理不尽だ!

(2016年7月26日付 東京新聞朝刊)
「保育園落ちた 日本死ね」という1人の親の怒りのブログから待機児童問題が注目されたのは、2016年2月。当時、保育園探しに翻弄されていた東京すくすく編集チームの記者の保活体験を書いたコラムです。

イラスト 保活ってこんなに大変

努力+運…ママに負担ずしり

 「保育所に入れるかどうかは、お母さんの努力次第ですね」

 1年前、息子を連れて区役所に相談に行った時に職員にかけられた言葉だ。都市部では今、子の預け先確保は親の「努力」と「運」で決まると言われ、主に母親に負担が偏っている。

 区市町村に申し込む認可保育所は、基本的に親の就労時間などで優先度が高い人から入れる仕組みだが、都市部では共働きで、ともにフルタイム就労でも入れるとは限らない。私が住む東京西部の区で昨春、入れたのは0~1歳児の約半数。職員には東京都の独自基準で運営されている認証保育所や、ベビーホテルなど、親が直接契約する認可外施設にも「努力して」申し込むよう勧められた。

「化粧せず悲愴感」「職員に顔を」あの手この手

 慌てて認証保育所に問い合わせると、「見学は早くて3カ月先」「入所は100人待ち」…。途方に暮れながら、見学や申し込みのため施設に出向いた。見学先で、同じ境遇の母親たちが「化粧せずに悲愴な感じで役所に相談に行くと入れる」「職員に顔を覚えてもらうと有利」と、まことしやかに話す姿も見た。「区役所詣で」と言われる窓口通いをし、情報を聞き出した。

 区内外の約40カ所の認可保育所、認証保育所、ベビーホテルに申し込んだが、どこにも内定しない。「保育園落ちた」の匿名ブログが話題になった今年2月半ば。私も「努力不足なのか…」とうなだれていた。友人には預け先が見つからずに引っ越したり、退職したりした人も。3月上旬になって、区が運営を委託する認可外の保育室に「運良く」空きが出て、入所が決まった。

「女性の問題」である限り、解決は遠い

 保活の現場で会うのは、ほとんどが母親だった。男性の育休取得率は2%前後で、わが家も含め多くの父親が育休を取らない。母親ばかりが保育所探しに奔走し、職場や働き方を変えざるを得ない現実に理不尽さを感じた。

 待機児童問題の解決には、保育所整備や保育士の処遇改善は欠かせない。ただ、同時に多くの父親が保活に主体的に関わることで、解決への道のりは加速すると思う。「女性の問題」でなくなってこそ、背景にある長時間労働を是とする労働環境も変わるはずだ。

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