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部活動を「規制」した現職が落選 異例の関心集めた新潟・加茂市長選

原田遼  
 「部活動」は、あくまでも子どもたちのためのもの。その原点を忘れた改革では、支持されない。高校野球で全国に先駆けた改革を進める新潟県内では、象徴的な出来事があった。4月に行われた新潟県加茂市長選。多選を目指す現職と新人の一騎打ちという、よくある構図だったが、2万7000人市民の異例の関心を呼んだ。争点の一つが、「部活動」だった。

昨年8月、市長が発表「土日や長期休み、運動部は活動禁止」

 突然の発表は昨年8月。当時の小池清彦市長が市内の公立中に対し、土日や夏休みなど長期休暇中の運動部活動を原則禁止にした。平日も必ず1日を休みとし、大会などで活動が必要な場合は個別に市長が認可するとした。市教育委員会は「教員に、部活ではなく、教材研究やきめ細かな指導にもっと時間を使ってほしい」と規制の理由を語った。


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 追い風となったのが、国の「部活動改革」だ。スポーツ庁が昨年3月に「活動は平日2時間、土日3時間」「週2日の休養日」などと定めた指針を策定。「週16時間以上スポーツをするとけがのリスクが高まる」という海外の研究に基づく基準だったが、加茂市は制限をさらに拡大する形で政策に運用した。

一部生徒や保護者が反発、団結 規制に「ノー」 7選阻む

 大人の都合による規制に、一部の生徒が反発した。あるバスケットボール部の3年生は「練習時間が足りず、強化ができない」と市長への直談判を決意。チームメートと市役所を訪れたが、対応してくれなかったという。

 各学校では保護者が団結。土日になると、顧問に代わって市営の体育館などを借り、部員を引率した。「自主練習」の名目での活動が半年以上常態化した。

 迎えた市長選。部活規制の撤回を掲げた新人藤田明美氏(48)が、小池氏の7選を阻んだ。行きすぎた規制に民意は「ノー」をたたきつけた格好だ。藤田氏は「いつも投票所に行かないけど、今回は投票するという保護者の声を多く聞いた。部活動に対する関心の強さを改めて感じた」と振り返る。

スポーツやりたい子の受け皿は? 公設クラブ作る自治体も

 実は国が指針を作る際も、前提にあったのは教員の「働き方改革」だった。加茂市のバスケ部員の父親は「教員の負担を理由にするなら、スポーツを頑張りたい生徒の受け皿も作ってほしい」と切実に語る。近隣の燕市では本年度、部活動を補完するための公設クラブを設立した。市が各校に呼び掛けて、陸上、水泳、バレーボールで参加者を募集。週1回程度、合同で練習する。指導者は外部に委託し、参加者から集めた会費で指導料を支払う。

 こうした積極的な試みをする自治体は一部。スポーツ庁は「部活をしたい生徒の受け皿や平等性の担保は課題。自治体や競技団体と一緒になって考えていきたい」としている。